世界の各地で大きな火事が発生しています。2019年から続くオーストラリア、最近のアメリカのカルフォルニア、北極圏では、この1年間で、100以上の大火災が発生しています。日本でも毎年1000~2000件の山火事が起こっています。これまでは、ほとんど、すぐに鎮火していましたが、今は、長引いていることが多く、異常気象の影響だとも言われています。
 火災だけでなく、大水の被害も大きくなりました。

 江戸時代の終わりごろ、文政11年(1828年)9月16日に起こった有田の大火災も、折からの台風と重なり、「文政時津風騒動記」や「皿山代官旧記覚書」にその様子が残されています。風で跡形もなく吹き飛ばされた住居の代わりに「窯住居」(登り窯の窯の中)に数千人の窯焼きや細工人が、冬の寒さをしのいだと記されています。

 火事と水害、昔も今も大きな災難ですが、中国の善導大師が、水と火のたとえで、自然界のことだけでなく、人間の煩悩を示してくださっています。
  

 燃え盛る火は、人間の瞋恚(しんに:いかり)を、荒れ狂う水は、人間の貪欲貪愛(とんよくとんない:尽きない欲望)を表わし、無人の原野は善知識(仏教の師匠)がいないことを、群賊は、阿弥陀如来の本願力を疑う人を、悪獣は、人間の肉体や感覚、取り巻く環境を表わすと言われています。
 現在の環境に例えると、コロナウイルスや天変地異、異常気象、大気汚染などに例えられるのではないでしょうか。

 その中に、幅12センチの白道があり、彼の岸から、阿弥陀如来が「我に任せよ、必ず救う。」と呼びかけ、こちらの岸では、お釈迦様が、「迷うことなく、その道を行け。}と、勧めてくださる、二河白道のたとえです。
 これは、中国の善導大師(七高僧の第五祖)が、「観経義疏・散善義」に示されたものです。浄土往生を願う衆生が、信を得て浄土に至るまでを、火と水のたとえによって表わされたものです。
 コロナウイルスだけでなく、私たちを取り巻く様々なトラブルや苦悩から、解放させてくださるはたらき、救いのヒントが、このたとえにあるような気がしています。


●10月の行事予定(住職動静)

  13日(日) むりょうじゅ会 19:30~
   14日(水) 栄町歌う会 13:30~

 
25日(日) 永代経法要 10時~
    
ご講師未定、(該当者には、案内状を発送します)
   28日(水) 栄町歌う会 13:30~
   30日(水) 丸尾 高齢者サロン説法ライブ
 

新シリーズ「地域の古いもの」
  
 幕の頭の三領石(さんりょうせき)


二河白道(にがびゃくどう)

 

2020.10 住職:桃谷法信
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有田禅門谷から波佐見の村木へ抜ける峠の所から木原に抜ける脇道の入り口
看板があり、800メートルほど入ったところに車止めがあり、徒歩で約100メートルほどの所。
 原明の藩境の道を、幕の頭へ向かって登り、頂上から波佐見方面へ尾根伝いに下ると、約1Kmで三領石があります。これは、江戸時代に佐賀藩、平戸藩、大村藩の三つの藩境の跡で、当時は、領地争い(焼き物をするための薪の確保のため)がたびたび起こり、境石や境松で目印としたようですが、山崩れや枯れ木となったため、1742年(寛保2年)に設置されました。現在、古道は、荒れているので、長崎県波佐見町の峠から車で入った方が行きやすいです。
             

 
 




髙さ2.,15m幅30㎝の三角柱の石柱で
南面に「此三領境東西峯尾続雨水分何大村領彼杵郡波佐見郷」
東西面に同じく「・・・・佐嘉領 松浦郡有田郷」 北西面に「同じく・・・・西北峯 平戸領
彼杵郡早岐郷」と刻まれています。
 幕の頭は、海抜319,8mの小高い山で、黒髪山の大蛇退治の折に鎮西八郎為朝が本陣としたところという伝説があり、有田南山、原明、木原、波佐見方面からたくさんの登り窯跡が麓に点在しています。金の採掘もされていたそうで、採掘跡も残っています。