「しんらんさまのふしぎなことば」へ

しんらんさまの不思議な言葉
その18、親鸞一人のため
 1997年4月22日午後、突然のめまいと激しい嘔吐のため動けず、救急車にて緊急入院。
 点滴と安静とで、何とか治まり、CTスキャンやMRIにも異常は見られず、結局は過労が原因の
発作性脳底動脈流不全であろうと診断されたのでござる。
 めまいはおさまったのでござるが、急な動作はまだふらつく毎日でござる。しかし、なんとか歩けるようにはなってまいった。
 入院して、ベットの上に横たわっておると、いろいろ思いが浮かんでまいる。

入院してはじめて
平生業成が味わえた。

臨終来迎ではなく、
今 救われている。
すべての始末を
まかせられる。

時がゆっくり
流れていく。

大きないのちの
中にいる。

お念仏が
出てきて下さる。

ねたまんまで
すわらなくて
いいから

ありがたい

なんまんだぶ。

病もいいよ。
弱い自分が
わかるから。
ベットの上の煩悩
それをめあての
ご本願。

尿が出る。屁が出る。
息が出る。汗が出る。
お念仏が出る。
大きなはたらきの中にいる。

足の指をもんでみる。
生まれてはじめて
ていねいに
だまって48年間
支えてくれた足の指
かたくなった足の指
一本いっぽん
いとおしい。


やさしいおたより
読んでたら

目から涙が
こぼれてきたよ

口から念仏
こぼれてきたよ

なみださまとあみださま
両方ともにありがたい

病に感謝
フラフラさせてくださる
(ぶつ)
おまえひとりの力じゃないと
いっしょに
フラフラしてくださる

(ぶつ)

むりょうのいのちと
むりょうのひかりに
ささえられてフラフラ歩く

看護婦さん
ありがとう

あなたの
やさしいひとことで

元気がモリモリ
わいてくる


天にまします
われらの神でなく

今ここにいて下さる
私一人のための(ぶつ)
天国やあの世という
つかみどころのない
世界でなく

西方のすべておさまる
浄土の世界

冥土なんて
真っ暗やみの場所でなく

私のいのちの生かされる
輝くところ

幽界という足場のない
迷いの世界でなく
往還回向のはたらきで
私もはたらける
確かな世界

こんなふうに味わい、思い描けるのは、もう700年も昔に、親鸞さまが、「弥陀の五劫思唯の願を よくよく案ずれば ただ親鸞一人がためなり」と言って、教えてくださったおかげでござる。  (1997.5むりょうじゅ160号)