しんらんさまの不思議な言葉

その24、南無阿弥陀仏を称ふればE

 現世利益和讃の終わりの6首を下に並べたのでござるが、他化天の大魔王、天神地祇、化仏、十方無量の諸仏など、ありとあらゆるものが、よってたかって、念仏の人を守り、悪鬼神は恐れ、菩薩方は、影のように身にそってくださると説かれてござる。これはいったい、何を表されているのでござろうか。

南無阿弥陀仏をとなふれば 他化天の大魔王 
釈迦牟尼仏のみ前にて まもらんとこそちかひしか 

他化天(たけてん:欲望の世界)

天神地祇はことごとく 善鬼神となづけたり 
これらの善神みなともに 念仏の人をまもるなり

天神地祇(てんじんちぎ:天の神、地の神)

願力不思議の信心は 大菩提心なりければ 
天地に満てる悪鬼神 みなことごとくおそるなり

南無阿弥陀仏をとなふれば 観音勢至はもろともに 
恒沙塵数の菩薩と かげのごとくにみにそえり
恒沙(ごうじゃ:ガンジス河の砂)

南無阿弥陀仏をとなふれば 無数の阿弥陀ましまして 化仏おのおのことごとく 真実信心まもるなり

南無阿弥陀仏をとなふれば 十方無量の諸仏は 
百重千重囲繞して よろこびまもりたまふなり

囲繞(いにょう:取り囲んで

歎異抄7章に、「念仏者は何ものにも邪魔されない」とござるが、心の解放というか、ありのままの自分を受け入れ、前向きに力強く生きていくことにつながるのでござる。
さる10月30日の夕べ(1997年)、法泉寺で、車に乗らず、自転車に乗り、マイクを使わないシンガーソングファーマーの南修治さんのコンサートがござった。

南さんは、岐阜県の恵那に住んで、農業をしながら自給自足で、環境問題、子育てにていて、語り、歌って、全国を自転車をこいで回っておられる方でござる。

「私は、山つつじが好きです。誰に見られることも期待せず、そこにひっそりとひとときを、いのち輝かせて咲くことで、まわりを美しくする。その時、その場を大切にして・・・・」

そして、山つつじの歌へと続くのでござる。まるで、親鸞さまの自然法爾に生き方だなあと感心しておると、彼は、実はクリスチャンでござった。「キリスト教会からは、ほとんどお呼びがかからず、真宗のお寺さんでのコンサートが一番多いんですよ。」とほほえまれた南さんは、菩薩様のようでござった。いや、クリスチャンだから、天使さまでござろうか。
                                (1997.11むりょうじゅ166号)

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