一口法話

     無量光 
    

 2月は、目から鱗が落ちるようなことがありました。

●その1、
今泉今右衛門さんの話
 
2月1日、有田小学校の焼き物展の審査にこられた今右衛門さんは、「アーごめんなさい、天井画、まだできていません。」と挨拶もそこそこにお詫びの言葉をかけてくださいました。高宗寺の住職が「今右衛門さんは、人間そのものが人間国宝です。」と、おっしゃるように、本当にいい人です。審査を終えられて、子ども向けのお話をしてくださいました。武蔵野美術大学在学中、周りは絵の上手な人ばっかりだったこと、学業もあまり振るわず、少し落ち込んで悶々とした日を過ごしていた冬の夜の帰り道、急に雪が降ってきて、身も心も寒々となった時、ふと空を見上げると、降ってくる雪に吸い込まれるような錯覚に陥ったそうです。そして、「きれいだなあ。」と思われ、雪が自分に語り掛けているように思われたのだそうです。「手の甲や洋服に落ちてはすぐ消えていく一瞬の雪が見せてくれた結晶の美しさに心を動かされ、デザインに生かすようになり、少し自信がついた。」と話され、「感動する心を持ち続ければ、今はできなくても一歩一歩、モノづくりの道は開かれると思います。」と、お話を結ばれました。
 それを聞きながら、つらい時や苦しさに耐える中でこそ、救いの手が用意してあるのだと思いました。雪の結晶が6角形だということも、六道の迷いを救う六地蔵さまや、南無阿弥陀仏の六字の名号のように感じられて、ありがたかったです。

●その2.
塩の話
 2月12日、大分県で無農薬有機農業を奨め、「ニンジンから宇宙へ」という禅的な表現で、いのちのつながりを本として循環農業を実践されている赤峰勝人さんの講演会を伊万里市民センターで開催しました。塚部伊万里市長や山口有田町長が、熱のこもったご挨拶をされ、自治体の長も、環境問題を重要なこととして考えておられるのだと思いました。
 ぼくは、「いのちのつながり」の意味をこえて、「無財の七施」を歌わせてもらって、その様子をユーチューブにアップしましたが、撮影した方の指がマイクをふさいでいたため、ささやきのような音しか入っていませんでした、新潟の松山公昭さんから「雰囲気は伝わったです。」というツイートをいただきました。

 土づくりの大切さから、化学肥料や農薬、除草剤の問題点を指摘され、また、アメリカの大企業が遺伝子組み換え種子などで、世界の農業を征服しようとする企みなどについても言及されました。
 特に、印象に残り、目から鱗が落ちたように感じたのは、塩の話でした。


 塩田法という法律ができた(昭和47年)頃から、アトピー性皮膚炎や花粉症、アレルギー体質が発症する割合が急増したと言われ、その原因の一つに、塩田法によって開発された化学塩の広がりをあげられました。
 もともと、塩は、海水から採っていましたが、工業化が進み、海辺が化学コンビナートや石油基地、港湾設備に必要となったため、政府と大企業は、コストや税収に目を付け、ミネラルたっぷりの海水からとれる塩を、化学塩に変えてしまったのでした。そのため、塩を作ることも、売ることもできないようになってしまいました。これは、武田信玄に塩を送った上杉謙信や戦争のために塩を専売にしたりする歴史と重なって、本当に人間を道具のように考える人間の悪魔のような仕業だと思いました。工業化を進め、大量の塩が必要になった企業の要請から、コストの安い化学塩が大量に生産されるようになり、人体に及ぼす影響など考えることもなく、塩が塩ではなくなって、NACLの塩化ナトリウムが家庭の味付けにも使用されるようになったのです。
 そして、塩のとりすぎは、体に悪いので、減塩しましょうと医療界や財界から盛んに宣伝され、健康志向の人々が騙された結果、カルシウムなどのミネラルなど塩切れの状態が世界に蔓延し、免疫力や抵抗力をなくした多くの人々が、昔はなかった病気にかかって苦しんでいるのです。
 鳥インフルエンザにしても、化学飼料を与えられ、運動不足の鶏は、どんなに鶏舎を清潔にしたり、渡り鳥やネズミの侵入を防ぐ設備をしても、罹るときには罹ってしまうのです。その原因は、鶏の塩切れによる抵抗力、免疫力の低下なのです。
 牛や豚の出産のときには、固形の塩をなめさせるそうですし、人間が危篤状態になったり、調子が悪い時にしてもらうのは、点滴で、その点滴液は、「生理食塩水(リンゲル氏液)」です。塩で、人間の回復力を助けているのです。
 そんな話を聞いていて、マスメディアに洗脳されてしまっている私を思い知らされました。 ちなみに、血液は、小腸で造られているということを聞いて、脊柱で造られていると思い込んでいた僕は、そのことも、目から鱗でした。

 聖徳太子の「世間虚仮、唯仏是真」親鸞さまの「この世のことは、そらごと、たわごと、まことあることなきに、ただ、念仏のみぞまことにておわします。」という遺言が心に深く染み込みました。
 ところで、塩田法は30年を経て、廃止され、伊豆大島や沖縄、四国や能登半島でわずかながら造られるようになってきてはいますが、(天塩やシママースなど)外国の岩塩を生成してにがりを加えたもので、天然の塩にはまだまだ及ばないものです。しかし日本各地には、そのことに目覚めた人々が、少しずつ天然の塩を造り始めておられます。
 塩は、イオン方式で造り出された塩化ナトリウムの化学合成塩をやめて、少々高くても、天然の塩に近いものをいただくようにしましょう。ヨカンビャーという方言を標準語に直すと、「いい塩梅」です。

   仏像のまね㉔  円空仏その2

 先月から、円空さんのまねをして、無駄なものをそぎ落とし、シンプルに彫ってみようと思い続けられたのは、円空さまの気迫が時空を超えて、ここに表れているのではないか、そんな気がして、円空さまの逸話を調べてみました。肥桶用に切ってあった木には決して彫刻しなかったとか、鉈で大胆に割ってから彫り進めるとか、泊めてもらった宿には、彫った仏像や観音様をお礼代わりに置いて行かれたとか、様々な逸話が岐阜県や三重県には残されています。その中で、これは、ぜひ真似てみたいことが一つありました。彫刻中の円空さまは、決してしゃべらず、黙々と彫り続けられたということです。関市に残る逸話では、大蛇退治のために弁財天を彫っておられた円空さまに、カラス天狗退治のためのカラスの彫刻を頼みに来た村人は、どんなに話しかけても振り向かなかった円空さまに、あきらめて帰ったところ、後日、きちんとその願いを果たしてくださったということです。ぼくも黙々と作業をしたいと思います。

●3月の行事 

13日 むりょうじゅ会
   夜7時30分~
14日 原明お講
  (山田富美子さん宅)
18日~20日法泉寺春彼岸会
     夜7時30分~

法事が入っているため朝の座はありません。
 19日~20日 諌早 高宗寺彼岸会出講 

22日 北川内高齢者サロン

23日 外尾山高齢者サロン


24日~26日 小長井浄真寺順番報恩講


2017.3 桃谷法信