照一隅
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2020.1住職:桃谷法信
 除夜の鐘を撞き終えて、本堂にお参りの約30人の方々と共に、年越しのお正信偈の読誦のうちに2020年(令和2年)の新春を迎えました。
 昨年は、大災害や大事な方がたくさんお亡くなりになった悲しい1年でしたので、小林一茶さんの「めでたさも ちゅうくらいなり おらが春」そして、「ともかくも あなた任せの 年の暮れ」を実感しながらの年始となりました。
 つれあいの父嶋田英夫さん、副総代の西川勝義さん、100歳目前の南チヂさん、岩永久男さん、そしてご門徒の葬儀は、20軒。大好きだった樹木希林さん、ペシャワール会の中村哲さん、・・・亡くなられた方々から受けた御恩は、返せないまま、赦してもらっています。お念仏以外に言葉が見つかりません。
 そのような気持ちで、新年の年頭法話は、中村哲さんのことを話しました。中村さんは、クリスチャンでしたが、座右の銘は、伝教大師最澄の「照一隅」でした。アフガンで医療活動をされていましたが、薬よりも水が大事だと井戸を掘り、水路を開き。圃場を作られたその活動は、まさに「照一隅」でした。今、ここで私ができること、それが、一隅を照らすということだと思います。災害地の支援活動やボランティアも大切ですが、私が、今、ここでできることに精一杯尽くすこと、それが、念仏者としての行動ではないかと思います。
 しかし、それはあくまでも、限界のある自力作善(じりきさぜん)です。最澄の教えを二十年にわたり実践された親鸞さまは、法然様との出会いによって、「照一隅」を、照らすのではなく、照らされているのだと悟られたのです。その認識は、とても大事なことです。私の行いは、どこまでも、エゴ+小慈小悲の域を出ないのです。そんな私のふるまいを、大悲の親さまは、「そのままでよい、必ず救う」と誓ってくださったのでした。
 報恩感謝のお念仏以外にお礼の申しようがありません。

 






 






お取り越し報恩講、有難いことでした。

●例年のごとく、11月の終わりから、12月30日まで、一軒一軒、お取次ぎをさせていただきました。お正信偈をあげて、御伝鈔下巻第七の「廟堂創立」を拝読し、親鸞さまの御往生と本願寺の起源をお話しさせていただきました。恩徳讃(旧譜)を合唱して、「ほおんこさん」のお勤めが終わります。
 お磨きが見事な家庭が何軒もあり、感心させられました。留守の所もありましたが、ご家族そろって、お正信偈をあげ、お念仏を称えられる方の声が、大きくなったと思いました。
 親鸞さまの遺徳とご苦労を偲んで、謹んで、お勤めさせていただきました。


◎今年の主な行事は、次の通りです。

1月4日 総代世話人会 午後5時~法泉寺
1月7日 もち米洗い、もろ蓋準備 午後3時~法泉寺
1月8日 仏具磨き、お華束お餅つき 午前8時~
1月10~13日 御正忌報恩講 朝6時~と夜7時半~
     12日は、子ども報恩講(雅楽演奏と音楽法要)
㋁13日 初御講 午後6時~お斎、7時~お勤め
3月20~22日 春の彼岸法会 夜7時半~
         22日は、午前10時からもお勤めします。
4月13日 むりょうじゅ会(御文章拝読)
5月13日 むりょうじゅ会(親鸞聖人降誕会)
毎月13日は、むりょうじゅ会です。(7月はお盆でお休み)
9月18~20日 秋の彼岸法会
10月25日?永代経法要
11月~お取り越し在家報恩講~12月いっぱい
12月13日 終いお講 午後6時~お斎、7時~お勤め
12月31日 除夜の鐘~年越し正信偈 11時45分~

 
★1月住職動静
6日 青嶺中学校ライブ打ち合わせ   9日~11日 子ども雅楽練習
11日 栄町うたう会 17日青嶺中学校ライブ 22日栄町うたう会
23日 退職教職員協議会新年会

 







★新シリーズ「地域の古いもの」①

 年末に上迎の岩永秀雄さんが、みえて、「けっこうなおちゃさんについて教えてくれんですか、いわれのあんまいわからんで、しようごたっけんですよ。」とお尋ねになりました。上本地区でも上迎と中迎、下迎の3地区が今もその行事を続けておられます。
「おちゃやさん」とは一体何か?
 以前は、岩谷地区も舞原地区でも行われていましたが、いつの間にか、なくなってしまっています。
 そこで、これは地域の伝承として、残しておこうと思い立ち、このむりょうじゅの新シリーズとして、取り上げることにしました。

 ●「けっこうなおちゃやさん」
 「おちゃやさん」はお逮夜さんのことです。お逮夜とは、命日の前夜も事で、初七日もお逮夜で勤めるため、なくなられた日から6日めで勤めるのです。
 ここで言う「おちゃやさん」とは、親鸞聖人の御命日1月16日の前日の15日を大逮夜(おおたいや)といい、「おおたいやさん」が「おちゃやさん」になまって、「けっこうなおちゃやさんでございます。」 という口上になりました。
 いつごろから始まったのかは定かではありませんが、全国的にこの行事があることは、幕藩体制が確立した(江戸時代初め)頃と思われます。30年ぐらい前までは、岩谷も舞原も行われていましたが、子どもたちの減少や様々な事情で、今行われているのは、迎地区のみです。地区内の各家庭を回り、仏壇にお参りし、念仏を称え、家の人にあいさつをして、「けっこうなおちゃやさんでぞざいます。」と口上を述べると、おもてなしのお茶菓子をいただけるということで、袋いっぱいのおやつをいただける、子どもにとってはうれしい行事でした。
 その行事を通して、靴をそろえたり、座り方やあいさつの作法を学び、自然にご先祖様や地域の方との関係に気づき、お念仏を称えることができるようになるのです。
 これは、地域の活性化にもつながる大事な行事です。岩谷や舞原でも、ぜひ復活させたいものです。