目には青葉、山ほととぎす、初鰹
視覚、聴覚。味覚。すべての感覚が、研ぎ澄まされて、心を洗ってくれる季節になりました。この季節の山は、新緑。そして、だんだん緑色が深くなり、光合成が活発になります。この不可思議な光を、お釈迦様は、不可思議光如来と頂かれました。
「いのちの根源だよ。」と示してくださいました。
例えば、野菜の血液である緑(クロロフィル)を食べることにより、これまた不思議な働きで、動物の血液である赤(ヘモグロビン)に変化させ、各器官へ酸素を運び、二酸化炭素を吸収し、活力を生み出しています。赤くなりえなかったものは、黄色や茶色(小便や大便)になり、体外へ排出されます。私の力では、何一つ出来ません。
このはたらきを法然上人や親鸞聖人は、自力無効、絶対他力の本願力回向と仰がれたのでした。
仙崎の早逝の詩人、金子みすゞさんは、「ふしぎ」という詩で、語り掛けてくださっています。
ふしぎ 金子みすゞ
わたしはふしぎでたまらない
黒い雲からふる雨が 銀にひかっていることが。
わたしはふしぎでたまらない
青いくわの葉たべている かいこが白くなることが。
わたしはふしぎでたまらない
だれもいじらぬ夕顔が ひとりでぱらりと開くのが。
わたしはふしぎでたまらない
だれにきいてもわらってて あたりまえだと いうことが。
金子みすゞさんは、生かされている「いのち」の不思議を 目に見えるものだけでなく、見えない働きを、たくさんの詩
に表現されています。「星とたんぽぽ」もそのひとつ。
青いお空のそこふかく 海の小石のそのように
夜がくるまでしずんでる 昼のお星はめにみえぬ
見えぬけれどもあるんだよ 見えぬものでもあるんだよ
ちってすがれたたんぽぽの かわらのすきにだあまって
春のくるまでかくれてる つよいその根はめにみえぬ
見えぬけれどもあるんだよ 見えぬものでもあるんだよ この目に見えない、気がつかない大きな働きをインドの言葉で「アミターユス、アミターバー」といい、中国語に訳すと「阿弥陀仏」と表わし、「尽十方無碍光如来」「不可思議光如来」と頂かれました。それに「おまかせします」の「南無」をつけて「南無阿弥陀仏」の名号となって、私の口から出てきてくださるのです。まさに、如来さまです。
お釈迦様の教えが親鸞さままで届いた喜びを正信偈120句にまとめられた親鸞さまは、その結論として、初めの2行に示されています。
「帰命無量寿如来、南無不可思議光」
(ひかりといのち、きわみなき、阿弥陀仏を拝まなん)
私たち人間だけでなく、山川草木、いのちあるものすべてが この不可思議光の中で、生かされています。
★5月の行事予定(住職動静)
4日 陶祖:李参平公「陶祖祭」臨席(総区長会長として)
9日 上本地区区役作業(かまどせき) 舞原地区どんつじまつり
12日 有田町 総区長会 伊万里栄町歌う会 敬徳高校雅楽指導
13日 むりょうじゅ会
*7時30分 お勤めと法話(降誕会)
5/21は、親鸞さまのお誕生日です。
26日 伊万里栄町歌う会
新シリーズ「地域の古いもの」 ⑱
4000年前の縄文カシの木(坂ノ下遺跡)
(山本、有田町役場、西有田中学校、佐賀県立図書館)
2021.5 桃谷法信