有田のお盆は7月でしたが、他の地域はほとんどが8月盆です。佐世保や伊万里方面に増えてきたご門徒の盆参りも、40軒近くになり、8月もお盆参りをさせていただきます。
 閑話休題(さて)、お盆は、亡くなった方の霊が帰ってくると思い込んではいませんか? お盆にまつわる風習や行事は、それぞれの地方でさまざまですが、それらの多くは、祖先崇拝と深く結びつき、「冥土から祖先の霊が帰ってくる時」と受け止められ、「その霊を慰め、追善供養をし、冥福を祈ること」としてお盆を迎えるものと考えられるのが一般的です。
「亡き人」とは何か?というとらえ方が、お盆にまつわる風習や行事に表れます。
 何軒か真言宗のお宅にもお盆のお参りに行きますが、亡き人を迎えるご馳走がされています。「三度三度の御給仕、大変ですね」と若いお嫁さんに尋ねると「大変ですけど、姑さんから三度三度の献立を習って、レシピが増えて、有難いです。」と言われたことがあり、伝統を受け継いでいく一つの方法だと感心しました。坊守の実家は、日蓮宗ですが、毎月25日は、赤飯の御仏飯をお供えされています。そのお下がりを月に1回、頂いています。
 浄土真宗では、精霊棚やお供え膳がありません。盆提灯や胡瓜や茄子を動物に見立てたお供えも致しません。
 それは「亡き人」を「霊」と捉えるのではなく、「仏」と敬うからです。先月号でも紹介しましたが、

「前(さき)に生れし者は、後をを導き、後に生れんものは、前を訪(とぶら)え」と、道綽禅師(562~645 中国の僧、浄土真宗の七高僧の一人)は、安楽集でお示しです。
「先に生れたものは、後に生きる人を導き、後の世に生きる人は、先人の生きた道を問いたずねよ。」と頂いています。

 親鸞聖人は「亡き人」を「諸仏」といただかれ、私たちを人としての真実の生き方へ導いてくださる諸仏だよと示してくださいました。
 お盆の時だけ「霊」が、還ったり往ったりするのではなく、いつでもどこでもどんな時でも見守ってくださる諸仏だと受け止めるのが、真宗門徒のお盆の迎え方です。
 ご先祖様からいただいた「いのち」を生きる意味を問い、「私が仏法に出遭う聞法の機縁」として、お盆を迎えましょう。


★アスリートたちの言葉★

 オリンピックが始まりました。無観客の中で、アスリートたちが、熱戦を繰り広げ、テレビ観戦でもついつい引き込まれてしまいます。超人的な技や鍛え上げた体から生み出されるエネルギーに圧倒されていますが、メダルを獲得したアスリートたちの言葉にも、感銘をうけます。
 共通する言葉は、「感謝」です。支えられて今があることをほとんどのアスリートたちが口にします。誰にもスランプや怪我、トラブルがあり、周りの期待に対する重圧感も相当あり、メンタル面での不安感など、常に付きまとっていることが想像できます。周りの支えがあって、乗り越えてきた人たちの言葉は、真実だと思います。

★8月行事(住職動静)
 
 ●お盆参りの日程(9日~15日)
 9~12日 フリーご希望があれば、お参りさせていただきます。TEL下さい
 13日( 初盆、佐賀、武雄方面
 14日(
 県境、佐世保方面

 15日(木) 伊万里方面、その他
    上記のように、予定していますが
*お盆参りを遠慮される方、*日程のご希望の方は、
      090-4989-1768(住職携帯)か・
      46-3748(法泉寺、桃谷)まで、ご連絡ください。
★8月住職動静
 2日、23日 敬徳高校雅楽指導 4日 総区長会 10日 郷土史研究会 
 11日 有田町「食」と農業祭り実行委員会  4日,18日 
伊万里栄町歌う会  
 2,3,4日 雅楽教室(法泉寺) 23日 有田町立部高齢者サロン
★8月15日●平和の鐘●を鳴らしてください。
 
すべての戦争による犠牲者を追悼し、その悲しみや痛みに寄り添い、子どもたちへ平和で安全な未来を残すために「平和の鐘」を鳴らし、”いのちの尊さ”を伝えましょう 鐘を撞きに来てください。(住職は盆参りで不在ですが、自由にお撞きください)


 新シリーズ「地域の古いもの」
 ⑳ (農業用水路

 上本地区には、堤(溜池)が9カ所あります。封通(ふうつう)さんが水の調整をしておられます。7月25日に堤の草払いが農家総出で行われ、総区長として、草刈りに参加しました。岩谷の大堤を全員で行い、その後、各地区に分かれて、それぞれの堤の草払いです。大堤は、総勢40人ほどで、40分ほどで終了し、区長挨拶をした後、我が舞原地区は、松葉堤の草払いです。蔦と萱に悩まされて、中々作業が進まず、少々ばててしまいました。岩﨑泉さんから共同作業の時の草払いの仕方を教えてもらいながら悪戦苦闘しました。毎年の夏の恒例作業に初めて参加して、農業に従事されておられる方のしんどさがわかりました。このような作業がずっと続いてきたのかと思うと、先人の苦労が偲ばれて頭が下がります。
 黒髪山系の外輪山としての西ン岳(国見山系)は急斜面が多く、保水力がないので、西有田地区には、四百以上の堤があり、個人の小さな溜池まで合わせると六百以上もの堤があると言われています。堤は、水の確保のためだけでなく、防災の役割も果たし、水田に供給された水は、天然のダムの役割も果たしています。水路を流れる水を眺めていると、NHK朝ドラ「おかえりモネ」の中で語られるセリフ
「海と山(大地)と空は、水でつながっている」を実感します。
 堤の管理は、農家だけでなく、そこに住んでいるすべての人が請け負っていかねばなりません。
 堤の草払いに出て、そんなことを感じました。


     
 砂門城の堤             堤建設の記念碑        水路の草刈りと遠景は西ン岳 
         ★上本の堤 

↑芝谷    ↑夏木原 ↑辻山  ↑松原口 ↑南川内↑砂門城↑大堤↑松葉     ↑迎 
  


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一口法話    2021.8 桃谷法信

霊か仏か?(浄土真宗のお盆)