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●4月7日、父上様の7回忌の法要に、二人の女性がお参りに来られました。お正信偈をお勤めしたら、お二人ともご一緒にお勤めされました。お二人ともお勤めが上手だなと感心しました。法話を終えてお話を聞くと、一人の方が、
「うちらの方では、49日の間、毎日、家族そろってお正信偈をお勤めするのです。」と言われたのでびっくりして尋ねると、「七日七日は、お坊さんに来てもらってお勤めするのですが、49日までは毎日、家族でお正信偈をお勤めする習わしなんです。」とおっしゃいました。
 すごい伝道の仕方だなと思いました。このようなご指導をなさっているご住職もいらっしゃるのだとびっくりし、感動しました。波佐見の東本願寺大谷派のご門徒さんでしたが、お正信偈が上手になるだけでなく、お正信偈をお勤めする間、亡くなった方を偲びつつ、自分を見つめる時間をいただかれているのだと思いました。また、親鸞さまに出遭ってくださっているんだと思いました。
 
●普通、自分を見つめる時は、眼を閉じて、自分の行いや考えを反省しますが、その尺度は、自分のものさしでしかありません。結局、いい加減な諦めか自己満足に終わってしまっているようです。これは、自力の計らいだと思います。自分のいいように結論付けてしまう自分の見つめ方にすぎません。

●お正信偈は、正式には27分かかります。法泉寺のご門信徒は、だいたい17,8分ぐらいの住職のリズムに慣れてくださっていますが、その20分ぐらいの間、ほとんど息は、出しっぱなしです。お釈迦さまの呼吸法で、息を吸うのではなく、ブレスは、力を抜く呼吸法でのお勤めです。
 健康を保持するために、お医者さんやインストラクターは、歩け歩け運動を推奨しますが、僕は、呼吸の仕方が健康を維持する基本だと思っていますので、お経をあげる、お念仏を称える時、息の続くぎりぎりまで、吐き続けます。そうすると酸素の摂取量は、25%アップするそうです。長距離走や泳ぐときの息継ぎは、吐く方に重点を置いて走ったり泳いだりします。
これは、運動するときだけでなく、普段の生活でも大切です。その呼吸法が、お勤め(お経をあげる)には、自然に具わっているのです。











●お正信偈をお勤めしていると、自然な呼吸法が身につき、不思議な感覚になります。心がリラックスし、自分の心の中や脳みその状態が自分で認知できるような感覚です。それに、当面解決しなければならない問題のヒントが浮かんできたり、新しいアイディアが思い浮かんできます。これは、不思議な感覚です。これが、他力の働きかなと思うことがあります。

●自力というと、世間一般では、自分の力や努力や経験をもとにして、事をなそうとすることです。他力とは、他人の力や自分以外のものの働きだと思いがちですが、浄土真宗の教えは、あくまで、往生浄土のことです。煩悩を抱える私たちが自力で往生を遂ぐることは不可能で、往生は、一定、阿弥陀如来の本願力に依らずば、到底かなわずということです。
 しかし、往生は決して死んだ後ではなく、「往生の一路は平生に決す。」と日渓法霖師がお示しのように、また、「前念命終、後念即生」とあるように、信心獲得したその時に、他力の働きにあずかるのだと思えば、生かされてあるいのちの営みこそ、他力といただけるのではないでしょうか。
 
●お正信偈をお勤めしながら、自分を見つめることができます。 暑い時は、「ビールをグーと飲みたいなー」という思いが見えてきます。あさまし、あさましと思いつつ、その「あさまし」が阿弥陀様の救いのお目当てだったと、悦びのお念仏を申します。「なもあみだぶつ」です。




●5月行事予定(住職動静) 
4/29~5/5 有田陶器市

8日 上本地区 区役作業 8:00~ 舞原堂の辻地蔵尊まつり 11:00~

11日 栄町歌う会 (25日も)

11日 総区長会
 10区区長連絡会  敬徳高校雅楽指導

13日 有田町岳高齢者サロン 説法ライブ

 13日 むりょうじゅ会 夜7時30分~降誕会

21日 山口市 光台寺様 降誕会出講















地域の古いもの 黒髪遍路道(有田・山内・伊万里)

 元有田町役場職員で黒髪酒天童のペンネームで有田や佐賀の歴史小説を執筆しておられる吉島幹夫さんが、立ち上げようとされている「黒髪へんろ道」の開山式が5月1日に行われます。場所は、山内町の黒髪神社の南側の観音山です。
 僕も協力者の一人として参加したいのですが、法事と陶器市の交通事情を考えると参加できそうにありません。これは、黒髪山周辺に点在するお遍路さんの礼拝札所を何回かに分けて巡礼するイベントを立ち上げ、新たな有田の観光名所を期しての取り組みだそうです。

 お遍路さんは、四国八十八カ所や全国の真言宗系のお寺周辺で、有名ですが、有田町内にも黒髪山を中心にして、有田町、山内町、伊万里市を巡礼する「めぐいさん」(お遍路さん)の礼拝場所があります。法泉寺の近くには、下本の観音堂が礼拝場所になっています

  
 
 旧西有田は、大山地区は真言宗が多く、曲川地区は主に真宗門徒が多いのですが、下本区は真言宗の信徒が多く、空閑一統は、龍泉寺、浦川一統は、定林寺の信徒になっておられます。 なぜなのかは、今後の研究を待たねばまりませんが、事の起こりは、南北朝の争乱に関係しているのではないかと推察しています。それは、10月22日のお大師さん(おじゃーさん:弘法大師)のお祭りの場所である中十里に
「正平22年」と刻まれた南朝の年号があることと関係しているのではないかと思うからです。
 また、旱魃時の雨乞いの神事も龍泉寺さんの行事や大木地区の雨乞い浮流が残されていることから、黒髪修験道の流れが関係していると思われます。

有田光明新四国 伊豫國 第四十二番 佛木寺
 本尊大日如来
草も木も 仏になれる仏木寺 なおたのもしき 鬼畜人天
 本村庵 大師堂


自分の見つめ方

一口法話    2022.5 桃谷法信