今、私たちは、さまざまな困難や矛盾、思いがけない想定外の出来事に右往左往しています。コロナウイルスの脅威は消えつつあるにもかかわらず、マイクロチップによる海洋汚染、二酸化炭素大量発生(この十年間で倍増)によるオゾン層破壊、それに伴う異常気象、少子高齢化の進行、拡大する格差、それに伴う貧困問題、ウクライナをはじめ、世界各地の紛争は、難民を生み、急速なグローバル化は新たな差別を生んでいます。
・・・・数えればきりがありません。 
「人生は苦なり」とお釈迦様はおっしゃいました。
思い通りにいかず、歯がゆい思いにさいなまされ、今まで何ともなかったことに、深い洞察が求められ、さまざまな対応が求められる時代になりました。
 しかし、よく考えてみると、これは、現代だけの問題ではなく、いつの時代も抱えてきた人間の苦悩の表出です。
 父や母は、戦争や飢えの中を生き抜き、祖父や祖母も差別や偏見の中を生き抜き、曾祖父や曾祖母は、、、ご先祖様方は、それぞれの時代の苦悩の社会、娑婆堪忍土を生き抜いて、いのちのバトンをつないでくださいました。
 人間共通の苦悩を、ウランバーナ(倒懸:逆さに吊るされた状態)と言います。釈迦十大弟子のひとり、目連尊者の苦しみをそのように比喩表現されたお釈迦様の教えです。
 親しかった人との別れは、悲しくて辛いものです。目連さんも母の死後、母が餓鬼道に堕ちた原因は、自分たちを育てるための報いだと思い、己を責めます。その責め苦をウランバーナと言います。(盂蘭盆の語源)
 目連さんは、考え抜いた末、母がむさぼった 行為とは反対の行為、つまり、布施行を実践します。(3月中旬の啓蟄から、7月15日の自諮の日までの期間は、虫や微生物を踏み殺さないために、修行僧は外出を控え安居という室内修行をするので、托鉢しない修行僧はひもじい状態が続きます。)
 その間、目連さんは、修行僧のために、果物や飲み物などの
食料を布施供養します。その結果、母が救われたことを知り
、躍り上がって喜んだことが盆踊りの起源だそうですが、産み
育ててくださった母への供養は、母の苦労を思い、母の願いを問い訪ねていくことだと悟ります。盂蘭盆経には、その顛末がしたためてあります。
 私たちのご先祖様も苦悩の人生を生き抜き、いのちをつないでくださいました。お盆は、その御苦労を思い、あらためて、

ご先祖様を偲び、お礼を申しましょう。それが、ウランバーナからニルバーナ(涅槃:悟り)への出発点だと思います。

「前(さき)に生れし者は、後をを導き、後に生れんものは、前を弔(とぶら)え」
、道綽禅師(562~645 中国の僧、浄土真宗の七高僧の一人)の安楽集の言葉です。
「先に生れたものは、後に生きる人を導き、後の世に生きる人は、先人の生きた道を問いたずねよ。」と頂いています。


 
新シリーズ「お念仏を悦ぶ人々」⑬ 
 藤谷正躬さん (開教師オクスナード仏教会))


 伊万里市松浦町山形の光雲寺出身の藤谷
正躬さんは、開教師として、40年間以上、
カナダやアメリカ、ハワイなどの海外で、浄土
真宗のみ教えを広められました。20か国以上
の言葉に精通され、ローマ法王とも会談され
た方です。松浦組の報恩会で、親鸞聖人のお
亡くなりになった年が1262年と表記されてい
たことについて、それは旧暦であり、本当は、
1263年であるということで意見が一致し、(
生は、アメリカのバークレーで1987年に開か
れた仏教研究世界大会の折に「翻訳における
暦法上の問題、親鸞の歿年について」というテ
ーマで、講演されています。)
西本願寺に上申
していただいたら、正式に1263年ということに
なったいきさつから、親しくなり、むりょうじゅ会
にもご出講していただき、お話をしていただき
ました。
 その折に、お土産としていただいた「仏説阿
弥陀経」、(藤谷さんの手書きによるサンスクリ
ット語のもの)は、法泉寺の宝物として、表装し
て客間の床の間に掲げています。(右の写真)
 学者肌の話しぶりは、なかなか難しかったで
すが、真剣に語りかけてくださる姿勢は、親鸞
さまのみ教えを伝えていこうとする思いに溢れ
ていました。



★7月行事(住職動静)
 
 有田は、7月御盆です。むりょうじゅ会、月参りはありません。
●お盆参りの日程(10日~15日)
10日(月) フリーご希望があれば、お参りさせていただきます。TEL下さい
11日(火)
 フリー(ご希望があれば、お参りさせていただきます。)
12日(水) フリー(ご希望があれば、お参りさせていただきます。)
 13日(木) 初盆、上本、舞原団地
 14日(
 原明、下本、蔵宿、内野、有田方面

 15日(土) 黒川、楠木原、北川内、大山方面
    上記のように、予定していますが
*お盆参りを遠慮される方、*日程のご希望の方は、
 090-4989-1768(住職携帯)か・
 46-3748(法泉寺、桃谷)まで、ご連絡ください。

7月住職動静
 4日 有田小学校にて、ミニコンサート
   有田の天才歌人「笹井宏之さん」を偲んで、父上の筒井孝司さんのオカリナと
   桃谷法信のギターと歌を子どもたちに届けます。
 6日 伊万里栄町歌う会(20日も)   8日 有田町児童対策協議会 
 11日 
退教協役員会
    18日 (敬徳高校 親鸞聖人御命日法要法話)
 23日
 上本老人会・知恵おくりプロジェクト共済 子どもと大人の輪投げ大会  
 24-29日 初心者水泳指導 (曲川小プール)  *8月1-3日 雅楽教室(法泉寺)



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一口法話    2023.7 桃谷法信

お盆(ご先祖様に出遇う時