一口法話    2023,3 桃谷法信

アキラメガカンジン
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「あきらめがかんじん」漢字で書くと「諦めが肝腎」
戦後、当用漢字に「腎」がなかったため、肝心と標記されていましたが、平成22年の改定で、腎が当用漢字に登録されたので、本来の書き方になりました。肝臓も腎臓も体に良くないものをろ過して、命を守ってくださる大切な臓器です。痛いとか、かゆいとか文句を言わず、働き続けています。大切という意味です。
 諦めは、普通は、投げ出したり、挫折したり、希望を断念する否定的な意味で用いられていますが、仏教的に言えば、明らかにするという意味で使われています。
 お釈迦さまは、四諦八正道という仏道実践の方法として、四諦(四つの諦め:苦諦、集諦。滅諦、道諦)を示してくださいました。苦悩の正体を明らかにし、その原因を明らかにし、苦悩からの解放を明らかにし、その実践方法として、八つの正しい行動様式を示してくださったのです。
「アキラメ」には、大きな働きかけがあるような気がします。
個人的な私ごとですが、スポーツが好きだった僕は、剣道(小)や野球(中)や陸上競技(高:棒高跳び、110ハードル)で、尊敬する沢木さんの順天堂大へ進み、スポーツ選手か指導者を目指していました。ところが、棒高跳びの練習中、棒が折れて、空中逆立ちのまま砂場に落下して、背中を強打し、気を失い、それ以後、腰椎の変形で、神経痛に悩まされ続けています。スポーツを諦めて、学生時代は、バンドなど音楽活動でラジオに出演したり、大きなホールでコンサートをしたりしましたが、ワイルドワンズの植田芳暁さんや赤い風船の西岡たかしさん、アリスの谷村新司さん、スタジオミュージシャンの有村淳司さんたちと交流するうち、彼らのテクニックを見て、プロのミュージシャンを諦めました。生活のため、トラックで運送業をしていましたが、夜は、音楽サークルで、楽しんでいました。ギター講師をしていたら、寝屋川市の教育課長が声をかけてくださり、収入は激減しましたが、学校に勤めるご縁に恵まれたのです。
 若いころからの挫折や諦めの意味をふりかえってみると、諦めるのは、自分の決断ではなく、大きな働きによって、諦めざるを得ない状態に追い込まれたように思います。そして、自分の好みでオファーを拒絶したら、悪い結果になったように思います。先のことをあれこれ考えずに、誰かからの誘いには、素直に従う、そこに、自分の人生を切り開いてくれる大きなチャンスがあったように感じています。











 自力の計らいを捨て、摂取不捨の誘いに応じていくことが、新しいステージに立てるような、また、新しい世界が開けるような気がしています。
 神経痛には長い間、苦しめられましたが、今は、痛みを和らげる術を身につけ、痛まないような運動や行動を心がけることによって、ほとんど痛みは消えてしまいました。要するに、血流をよくする動きを心がけることで、痛みを緩和できるようになりました。そして、痛みは、注意するように催促してくださるメッセージだと受け止め、(痛楽)と名付けて、痛みを楽しんでいます。
 阿弥陀如来の絶対他力の本願力というのは、すべて、おまかせするということを、生老病死のいかなる状態にあっても、受け入れ、受けとめていくことではないか、そして御恩報謝のお念仏を称えていくことではないか、そんな風に思います。
 僕は、雑行雑修自力の心を振り捨てて、諦める「諦めが肝腎」だと強く感じています。

 新シリーズ「お念仏を悦ぶ人々」⑨ 
 東井義雄さん(小さい勇気をこそ)
⇩↓頂いた色紙
 
40年前、見ず知らずの東井先生に手紙を書いたのは、わずか10戸のご門徒を預かる浄土真宗の住職を勤めながら、教職に就き、阿弥陀経の「青色青光黄色黄光赤色赤光白色白光」が子どもの存在なのだという思いで、教導しておられた姿に感動したからでした。初めての見識もない僕に、毛筆の丁寧なお返事を下さいました。同じ境遇の立ち位置で活動する僕を励ましてくださったのです。その後何度も往復書簡を交わし、著作を贈っていただきました。是非、伊万里有田の地で、たくさんお方に東井先生のお話を聞いてもらいたくて、講演の依頼をしたら、快く引き受けてくださいました。








必死で、講演会の準備、宣伝、呼びかけをしたら、1020席の伊万里市民会館は満席で、ロビーにまで人があふれる盛況になり、モニターを慌てて用意しました。もう、40年ほど前のことになりますが、東井先生の教えは、僕の教育者としての姿勢の根底にズシリと横たわっていました。そして、僧侶の生き方にも大きな影響を受けました。東井先生は、僕の東方世界の菩薩さまだと今でも思い続けています。
 このむりょうじゅの表紙の版画の言葉は、東井先生の言葉ですし、お配りしているカレンダーの毎月の言葉も東井先生の短いお言葉が書かれています。「拝まないものも拝まれている」「根を養えば、樹は自ずから育つ」など、震えるほどの感動する言葉をたくさん残してくださっています。
 男女共同参画やLGBTが、世間をにぎわせていますが、 こんな言葉も残してくださっています。
「平等だとか、同権だとかいうことが、男女の特質を無視して、ぬりつぶしてしまうような横暴さであってはならぬ。」
 僕のユーチューブで東井義雄先生を紹介していますが、ネットで検索すると、先生の講演やNHKの心の時代の録画を拝見することができます。ぜひ、ご覧下さい。

    ★3月行事 (住職動静)
13日 むりょうじゅ会 夜7時30分~
19,20,21日 
春の彼岸会 夜7時30分~ 
                  21日は、朝10時~もございます。
★3月住職動静
1日 有田陶器市委員会(大有田焼会館)  自主防災会議(働く婦人の家
2日 歴史民俗資料館評議委員会 上本会計監査 5日 松浦組組会(正福寺)
8日 総区長会・10区区長連絡会  12日 上本田荷用算入・役員班長会             
25日 上本常会・役員班長引き継ぎ会  27日 有田町社会福祉協議会理事会