一口法話    2023,4 桃谷法信

先に生れし者は・・・
法話のページへ
 今日からお彼岸という3月18日の早朝、ふと目についたのは、昨日配達された「本願寺新報」。この新聞の編集長は、大学時代、役僧をしていたお寺、仏現寺(油の小路六角下がる)の小さな子どもだった油小路宗亮さんです。2021年の11月に本願寺経堂の壁にはめ込まれた陶箱の復元したものを制作された樋口憲人さんと奉納しに行った折、大変お世話になりました。
 普段は、ざっと目を通すだけなのに、午前4時過ぎの頭脳は、さえていて、「伝えたい本当の宝物」というタイトルに心が魅かれて、記事を読むと、山口別院が、毎年1回、浄土真宗のおみのりを伝いたいと、山口県下のすべての新聞に折り込み広告を挿入しているというものでした。
 「法座で聞いた心に響く有難い浄土真宗の言葉は、誰にも破られない本当の宝物です。」という上関、報土寺門徒の塩谷朝三さん(95)の言葉と写真んが掲載されていました。そして、裏面には、東井義雄先生の「誕生日」という詩が載せてあり、次の世代に「いのちをひきつぐ」こととは何か、何を託すのかを、問いかけてありました。
 「誕生日」 東井義雄。/ 誕生日おめでとう/ お父さんお母さんから/ いのちをひきついで/ おじいさんおばあさんから/ いのちをひきついで/ その前のおじいさんおばあさんから/ いのちをひきついで/ その前のその前のご先祖から/ いのちをひきついで/ 何億年も昔からの/ いのちをひきついで/ あたらしいいのちの/ この世への誕生/ おめでとう おめでとう/ 
 この詩をパソコンの画面に打ちながら、胸がいっぱいになりました。
明日19日は、ご近所の岩﨑虹心(にこ)ちゃんの初参式です。この詩を清書して贈りたいと思いました。
 ついでながら、ここで、先週からひき続いて、東井先生のことを掲載。

 新シリーズ「お念仏を悦ぶ人々」⑩ 
 東井義雄さん(拝まないものも拝まれている) その⓶
                   東井先生との往復書簡をするうちに何冊か、先生の著書を贈っていただきましたが、その中に、「人生の詩」という小冊子があります。







『貧しく愚かに』という詩の全文を紹介して、東井先生を偲ばせていただきます。
  
貧しく 愚かに (紙面の都合で、改行は省略します。)
 チョボイチご飯という ほとんど大根ばかりみたいなご飯を 毎日よばれて育った私 母が死んだのは数えの八つで 小学一年生に入ったばかりの五月 それを手はじめに数えの二十八で 父が亡くなるまでの二十年間に 六つの葬式を出した私の家 差し押さえの通知に 歯ぎしりしたのは小学五年生 でも こういうことにでも であわなかったら わたしのようなうっかりやには しあわせが しあわせのありかを 教えてくれずにいってしまったかもしれない  うっかりもの もの知らずに生まれなかった わたしのようなおひとよしは 愚かであることの悲しみや痛みも まことの知恵がほしいねがいも 知らずに来てしまったかもしれない 草や木も 花も実も 虫や魚や鳥も 水や石も 山や川も あらゆるものを おさめとりはぐくみ育てる 不思議な大地も そして 天上のないという深い無限の天も 先生も子どもも 肉親も他人も 先輩も後輩も 味方も敵も 愛も増も 誤解も中傷も ありとあらゆる すばらしい人生の師匠たちが 師匠になってくれることをしないで、いっていまったかもしれない
 酒も飲めず 煙草も吸えず 碁も将棋も知らず ボールを投げることも受けることも 打つことも蹴ることも 泳ぐこともできない どがいしょなしに 生まれなかったら わたしのような驕慢な輩は 年よりも子どもも 男も女も 学のある人も ない人も どんな身分どんな職業をもっている人もが みんな自分より偉く見えるこの幸せな目も 人さまを信じて生きることよりしかたのない この生き方すべても 恵んでもらわずにきてしまったかもしれない ああ わたしは これからも 貧しく 愚かで どがいしょなしであることのしあわせを たいせつに いのちの限り 貧しく 愚かに 生きぬかせてもらいたい。
 この冊子の表紙裏に 二里小学校の教え子の名前が、書いてあります。保護者に輪読リレーしてもらったことを忘れていました。
大愚良寛、愚痴の法然、愚禿親鸞、僕の尊敬するお坊様たちは、みんな愚の自覚をお持ちでした。東井義雄先生もそのおひとりです。すべて、阿弥陀如来の光に照らし出された煩悩具足の正体の自覚です。








 
 ★4月行事(住職動静)

13日 むりょうじゅ会 夜7時30分~(御文章拝見)
 法泉寺には、法如上人(1707-1789)時代の250通全5巻の御文章と 顕如上人(1543-1592)の花押があるもの1巻、曾祖父から受け継ぎ現住職も拝読しているぼろぼろになった鏡如上人(1876-1948)授与の1巻、ひらがな版のものなどがあります。すべて、公開いたしますので、お手に取ってご覧ください。
 そして、聖人一流章や末代無知章、信心獲得章、白骨章を皆さんとご一緒に拝読します。

3-5日親鸞聖人御誕生800年立教開宗800年慶賛法要(西本願寺)
    松浦組団体参拝に参加
9日 曲川神社桜権現まつり 法泉寺子ども雅楽出演 
10-12日 13夜会長崎五島旅行  12日 べんじゃらきっず理事会
19-23日 山代町里正福寺様 順番報恩講 午後1時より 

*3月31日の年度末をもって、有田町総区長会会長の役を終わることができました。たくさんの充て職を拝命しましたが、今まで知らなかったことをたくさん学ぶことができました。特に、農業関係の水路や溜池の保全に対する普段の地道な活動を、黙々とやってこられた方々、環境保全のために草払いをはじめ、道路の補修や堤の管理(封通さん)をして下さっている方々、町の建設課をはじめ、総務課やまちづくり課など、住民の安心安全のために尽力されている行政で働かれている方々、空き家対策、住民福祉、健康推進など、これまで、なんとも思わずに、恩恵を受けていたことをしみじみと感じさせられた2年間でした。
 4月からは、時間的に少し余裕ができますので、色々やりたいことをやっていこうと思っています。まちづくり課の助成で立ち上げた「地域の未来アシスト事業」上本知恵おくりプロジェクトも、子ども会や老人会、保護者の連携、そして、法泉寺仏教壮年会、女性部にも協力をいただきながら、推進していきたいと考えています。どうぞ、よろしくお願いいたします。