一口法話    2023,5 桃谷法信

ごめんなさい と ありがとう
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 NHKの朝ドラは、4月から牧野富太郎さん(1862-1957)の生涯をたどる「らんまん」というドラマが始まりました。牧野さんは、高知県高岡郡佐川町の出身で、植物学の権威です。牧野博士のふるさとである佐川町に、僕の大学時代の友人がいます。西願寺の住職の寺尾大栄君です。土佐人らしく豪快ですが、料理も上手です。その寺尾君のお寺の永代経法要にお取次ぎ(お説教)に行った時、その御案内に、「何のために生れて、何をして生きるのか、答えられないなんて、そんなのはいやだ。」というアンパンマンの歌詞がありました。
 岡山で、新幹線から高知行きの特急に乗り換えましたが、その特急の名前が「アンパンマン2号」でした。外観も内装もアンパンマンやメロンちゃんが描かれ、車内では、アンパンマン弁当も売られていました。なんでアンパンなのかというと、作者のやなせたかしさんは、南国市御免町というところで育ったこと、戦後、高知新聞社で働いていたからでした。 その御免町がやなせさんの提案で取り組んだのが、「ハガキでごめんなさい」という、ごめんと言えなかった心のわだかまりをハガキに書いて、御免町(南国市)に送ってもらう取り組みでした。今年で19回になるそうです。
●「小さいころ、熱が出るとお母さんが優しくなるので、熱が出るとよろこんでしまってごめんなさい。」
●「スーパーで前を歩いていたお婆ちゃんが立ち止まってしまいました。「イラッ」として御免なさい。お婆ちゃんは、店内に置いてあるぬいぐるみを撫でていたのです。私もそんなかわいいお婆ちゃんになりたいです。
●「お前の手、がさがさだな ごめん。」・・・・

 私たちの行為(仏教では、身口意の三業)が、忘れてしまっていることも含めて、生きていく種を蒔き続けているとしたら、私の行き着くところは、地獄でしかありません。。自分勝手な我儘を、ゆるしてくださり、そのまま救うと誓ってくださった阿弥陀様のお慈悲を、「御恩嬉しや、なもあみだぶつ」といただきましょう。
 そんな思いで、今月の「お念仏を悦ぶ人」は、浅原才市さんを紹介します。それは、才市さんが残してくださった「口あい(くちあい)」の中に
「米俵、どこを抜いても、米ばかり。お六字は、どこを抜いても、慚愧と歓喜(ざんぎとかんぎ)。御恩うれしや、なもあみだぶつ」という詩があるからです。
 なもあみだぶつの六字の名号に照らされると、御免なさいとありがとうという思いが溢れ、親鸞さまの「悪人正機」のめあてが、私一人のものであったと自覚されます。










 
新シリーズ「お念仏を悦ぶ人々」⑪ 
 浅原才市さん(親の遺言、南無阿弥陀仏)) 
              浅原才市さん(1850-1932 法名:釋秀素)は、島根県温泉津の下駄職人でした。若いころは船大工で稼ぎもよく、飲む打つ買うの荒くれだったようですが、怪我をして力仕事ができなくなり、下駄職人として、働く中で、カンナ屑や木片に口あい(思い)を書いたものが7000首ほど、それを帳面に移したものが残されています。内容は、慚愧と歓喜(ごめんなさいとありがとう)で溢れています。 18歳の時に母親トメを亡くしますが、その時の遺言「お念仏を悦ぶ人になっておくれ。」の実践です。
 浅原才市さんについては、鈴木大拙さんや水上勉さんをはじめ、たくさんの方々が紹介されていますので、詳細は省きますが、心に残っている「口あい」を、少し紹介します。
「ああええな、世界虚空がみな仏、儂もその中、南無阿弥陀仏」   
「うちのかかあの寝顔を見れば、地獄の鬼のそのまんま、うちには、鬼が2匹おる。女鬼と男鬼。あさまし、あさまし。」
「あさましがないならば、弥陀の浄土はいらんのに。あさましがある故に、こさえてもろおた弥陀の浄土を。」
「さいちこころになにがある。さいちこころにじごくがあるよ。ひにち、まいにち、ほのをがもゑる、めにわみゑねど、これが正をこ(証拠)、ありがたいな、をやさまが、わしのこころい(へ) なむあみだぶつと とろけやい(合い)、ごおんうれしや、なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。」
 浅原さんの住まいのすぐそばに、安楽寺が
あります。毎日、仕事を終えた才市さんが仕事
着のまんま、お参りされたお寺ですが、その内
陣の左の余間に、浅原才市さんの肖像画が
掛けてあります。ひたいに角があり、合掌して
座っている才市さんの絵で、若林春暁という
日本画家が描いたものです。その絵には、
梅田謙敬住職の「角あるは機、合掌は法、
法よく機を摂す
・・という賛が書かれています。







 
 ★5月行事 (住職動静)

13日 むりょうじゅ会 夜7時30分~(親鸞聖人降誕会)
 今年は親鸞さまのご誕生から数えて、850年に当たります。真宗10派の本山でも、にぎにぎしく大法要が行われています。4/3-5の三日間、松浦組団参90名、西本願寺と東本願寺にお参りしてきました。そのお土産話で、親鸞さまを偲びたいと思います。

7日 上本地区 区役作業
11、25日 伊万里栄町歌う会
15-16日 京都正住寺 知真日曜学校OBOG会(祗園花咲)  
22日  立部高齢者サロン 説法ライブ
27-28日 大須賀ひできコンサート「平和へのメッセージ」
     27日 10:00~尊光寺(東山代町里)
         14:00~教法寺(立花町西円蔵寺)
     28日 14:00~帆の博記念堂(法泉寺)
29日 松浦組定期組会 15時~明善寺(住職と総代)
31日 有田町社会福祉協議会理事会 13時30分~社協

●大須賀ひできコンサートについて
 
4年前に有田町の町民ロビーや栄町公民館、東山代の尊光寺様、戸矢のリンデンホーム、法泉寺で開催し、好評を博した「大須賀ひできさんのコンサート」を、開催します。
 これは、親鸞聖人お誕生850年、浄土真宗開宗800年を記念して行うもので、炎博記念堂文化ホールでは、子ども雅楽の伴奏による「宗祖讃仰音楽法要」をお勤めし、「旅ゆく親鸞」の全員合唱をして、大須賀さんのステージに繋げようと考えています。
 戦禍のウクライナやスーダンを念頭に置き、「兵戈無用、世界安穏」という親鸞さまの願いに思いを馳せつつ、平和へのメッセージを発信していこうと考えています。入場料は、500円です。どうぞ、大須賀さんの爽やかな声とギターテクニックを聴きに来てください。
★14日(日)13:00~集合
上本知恵おくりプロジェクト
⁂「サツマイモ苗の植え付け」
作業場所は、岩谷休耕地です。
参加自由です。