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「人生は苦なり」とお釈迦様はおっしゃいました。
思い通りにいかず、歯がゆい思いにさいなまされ、今まで何ともなかったことに、深い洞察が求められ、さまざまな対応が求められる時代になりました。
 しかし、よく考えてみると、これは、現代だけの問題ではなく、いつの時代も抱えてきた人間の苦悩の表われです。
 父や母は、戦争や飢えの中を生き抜き、祖父や祖母も差別や偏見の中を生き抜き、曾祖父や曾祖母は、、、ご先祖様方は、それぞれの時代の苦悩の社会、娑婆堪忍土を生き抜いて、いのちのバトンをつないでくださいました。
 人間共通の苦悩を、ウランバーナ(倒懸:逆さに吊るされた状態)と言います。釈迦十大弟子のひとり、目連尊者の苦しみをそのように比喩表現されたお釈迦様の教えです。
 親しかった人との別れは、悲しくて辛いものです。目連さんも母の死後、母が餓鬼道に堕ちた原因は、自分たちを育てるための報いだと思い、己を責めます。その責め苦をウランバーナと言います。(盂蘭盆の語源)
 目連さんは、考え抜いた末、母がむさぼった 行為とは反対の行為、つまり、布施行を実践します。(3月中旬の啓蟄から、7月15日の自諮の日までの期間は、虫や微生物を踏み殺さないために、修行僧は外出を控え安居という室内修行をするので、托鉢しない修行僧はひもじい状態が続きます。)
 その間、目連さんは、修行僧のために、果物や飲み物などの
食料を布施供養します。その結果、母が救われたことを知り
、躍り上がって喜んだことが盆踊りの起源だそうですが、産み
育ててくださった母への供養は、母の苦労を思い、母の願いを問い訪ねていくことだと悟ります。盂蘭盆経には、その顛末がしたためてあります。
 私たちのご先祖様も苦悩の人生を生き抜き、いのちをつないでくださいました。お盆は、その御苦労を思い、あらためて、
ご先祖様を偲び、お礼を申しましょう。それが、ウランバーナからニルバーナ(涅槃:悟り)への出発点だと思います。
「前(さき)に生れし者は、後をを導き、後に生れんものは、前を弔(とぶら)え」道綽禅師(562~645 中国の僧、浄土真宗の七高僧の一人)の安楽集の言葉です。
「先に生れたものは、後に生きる人を導き、後の世に生きる人は、先人の生きた道を問いたずねよ。」と頂いています。
   










東井義雄先生の言葉⑦
 川のための岸、私のための本願


川は、岸のために流れているのではない。
川のために、岸ができているのである。
 川のために岸ができているように、
 私のために本願ができていてくださるのである
 どこまでいっても,澄むことのない私。
いつ、どこで、どんな大暴れをやって、自他を破滅に追いやって
しまうかもしれないものを潜ませている 私
久遠の昔から流転を繰り返してきた私が
この度、せっかく人間に生まれさせていただきながら
どこへ行くのかも知らず、それを、知ろうともせず、
流転をくり返そうとしている愚かさを見かね、
凡聖逆謗斉迴入の本願の海を成就し、
そこへ、導き入れ、摂めとるために、
本願の岸ができ、はたらいてくださっているのである。
 川のための 岸、
 私のための 本願 なのである・



★7月行事(住職動静)
 
 有田は、7月御盆です。むりょうじゅ会、月参りはありません。
●お盆参りの日程(10日~15日)
10日(水) フリーご希望があれば、お参りさせていただきます。TEL下さい
11日(木)
 フリー(ご希望があれば、お参りさせていただきます。)
12日(金) フリー(ご希望があれば、お参りさせていただきます。)
 13日(土) 初盆、上本、舞原団地
 14日(
 原明、下本、蔵宿、内野、有田方面

 15日(月:祝) 黒川、楠木原、北川内、大山方面








 *お盆参りを遠慮される方、*日程のご希望の方は、
 090-4989-1768(住職携帯)か・
 46-3748(法泉寺、桃谷)まで、ご連絡ください。
    
7月住職動静
  4日 伊万里栄町歌う会(25日も)  10日 大木宿高齢者サロン説法ライブ  
 
 22-26日 初心者水泳指導 (曲川小プール)  30日 丸尾高齢者サロン説法ライブ


しっこりさん ④雨ん日

 きょうは、雨ん降いよっけん、みゃーばの子どまー、甚さん方の炊きもん小屋の裏の洞穴ん中きゃーひゃーって、ゲジゲジ虫やら、蝙蝠やらば、からこうて、キャーキャー言いよっ。
 その声ば聞きつけて、骨のひん曲がった、ちかーっと穴んあいとる蝙蝠傘ばさして、しっこりさんの洞穴ん中さん、ひゃーてこらした。
 どこで、もらわしたか知らんばってん、長靴ばひゃーとらす。
 誰じゃいろ、「ああー雨ん降らんぎーよかとけ。」って言うたぎー、しっこりさんが、「そがん言うな。雨の降らんぎーなーんも出来んばい。おてんとさんと雨さんと風さんとおらっさんぎーおどまー生きていかれんたい。」ちゅうて、入口にある石ば指さして、「雨ん降って濡れた石は、きれいかろうが、雨は、ホコリで汚れたもんば、きれーにしてくいらすけん、雨さんな、たいしたもんたい。お寺の和尚さんのこがん言いよらしたバイ。
「天に向かって、ブツブツ言うな、雨ん日にゃー雨ん日の生き方ンあっと。」ちゅうて京都の兄弟の話ばしてくいらしたとさい。
 京都の三条に兄ちゃんが、四条に弟がおって。兄ちゃんは、草履屋、弟は、傘屋ばして、暮らしよらしたて。
 こども思いのかあちゃんな、雨ん降っぎ、兄ちゃんの草履ん売れんで、困っとろう、ちゅうて心配さす。晴れた日にゃー、弟が傘の売れんで困っとろう、ちゅうて、毎日毎日、嘆きながら暮らしよらしたて。 反対に考ゆっぎ、よかとけ。
 ありゃ、雨んやんだごた。そいぎいね。


一口法話    2024.7 桃谷法信

お盆(ご先祖様に出遇う時