★東井義雄先生の言葉⑨
亀は亀のままでいい、兎にならなくていいのだよ
(師範学校の)二年生になったら、私よりのろいのが入部してくるだろうと、それに大きな期待をかけて、毎日,ビリを走り続けました。でも、待望の2年生になっても、私よりのろいのは、一人も入部してきませんでした。3年生になったら…と、粘り続けましたが、3年生になってもビリは私の独占でした。
ビリっこを走りながら、毎日考えることは、「兎と亀」の話でした。
あの話では、亀は兎に勝ちました。けれども、兎が亀をバカにして、途中で一眠りしたりするものだから、たまたま、亀が勝ったにすぎません。いくら努力しても亀は、どこまでいっても亀で、走力は、とても亀には及びません。あの話は、値打ちのある亀は、つまらない兎よりは、値打ちの上では上だ、という話ではないかと考えました。そして、私も「日本一のビリっこ」にはなれるのではないかと考えるようになりました。「よし、日本一のビリっこになってやろう。」と考えることで、少し勇気のようなものが湧いてくるのを感じました。
そのうちに、また気がつきました。「もし、僕がビリっこを独占しなかったら、部員の誰かが、このみじめな思いを味わわなければならない。他の部員が、このみじめな思いを味わわなくて済んでいるのは、ぼくがビリっこを独占しているおかげだ」ということに気がついたのです。「ぼくもみんなの役に立っている」という発見は、私にとって大きなよろこびとなりました。世の中がにわかに、パッと明るくなった気がしました。そして、教員になったら、ビリっこの子どもの心のわかってやれる教員になろう。とび箱のとべない子、泳げない子、勉強のわからない子の悲しみを解ってやれる教員になろう。『できないのは努力が足りないからだ』などと、子どもを責める教員にはなるまい」と思わずにはおれなくなりました。
こんな私だったのですから、今の時代の様にせっかく学校を卒業して教員免許状を取得しても、都道府県の教員採用試験をパスしないと、教員にしてもらえない時代でしたら、私は、とても教員にはなれなかったでしょう。今も県の採用試験のな中には25mを泳ぐことができるかどうか、というのがあるそうですが、このこと一つだけでも私ははねられてしまいます。良い時代に生まれさせてもらったものです。おかげさまで、私は、小学・中学・大学と55年間も教員を勤めさせていただくことができました。
そして、私と同じように,走ってもビリになってしまう子、泳げない子、勉強の解らない子、生きる目当てをつかむことができないで、多くの先生方から困られやけになってぐれようとしている子たちにも、生きる喜びに目覚めさせてもらえるよう、念じ続けさせてもらうことができました。
というよりは、そういう子どもたちによって、私自身が「生きる」ということを教えrsれ、「ほんとうの教育」を教えてもらうことができたように思います。そして、私自身が、貧しく、愚かで、不器用に生まれさせてもらったことを、しみじみと、幸せであったと思わずにはおれないのです。
気づかせてもらってもますと、川の流れに寄り添って、岸が最後の最後まではたらき続けて、流れを海に届けているように、貧しく、愚かで、不器用な私に寄り添って、「兎と亀」の話を思い出させ、「亀は亀のままでいいのだよ」と、気づかせてくださるお働きが、はたらきづめにはたらいてくださった気がするのです。
★9月行事予定(住職動静)
10日 上山谷高齢者サロン説法ライブ
13日 むりょうじゅ会 夜7時30分~
16日の上本敬老会は中止です。
20,21,22日 秋の彼岸会法要 夜7時30分~
21日(土)は、朝10時 も勤めます。
12日、26日 伊万里栄町歌う会 (13:30~15:00)
★9月16日(祝:敬老の日)●平和の鐘●を鳴らしてください。
すべての戦争による犠牲者を追悼し、その悲しみや痛みに寄り添い、
子どもたちへ平和で安全な未来を残すために「平和の鐘」を鳴らし、
”いのちの尊さ”を伝えましょう 鐘を撞きに来てください。(
これは、東京の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で行われる「全戦没者追悼法要」
に合わせて、9月16日13:00~13:30に「平和の鐘」を撞きます。
参加できる人で、鐘を撞いて、世界の平和を願いましょう。
しっこりさん ⑥屁の音
ほんなこて、笑ろたとは、屁の音やった。
音はすっどん、匂いはせん。そいでん、「ブッ」て、音ん聞こえてくっとサイ。
音んすっほうば、見たぎ、しっこりさんのにやにやしよらす。尻ん穴からじゃのうて、脇ん下からやった。
左ん手のひらば、右ん脇ン下にはすーで、右ん腕ば、上から下へ振りおろすぎ、脇ん下から、「ブッ」って音んすっとたい。
しっこりさんな、その技ば、子どもたちに教えてくいらした。長袖や半袖じゃ、しにっかけん、わざわざランニングシャツば着て、「屁の音」ば練習したバイ。 しっこりさんな、脇ん下ばっかいじゃのうて、膝ん裏でも鳴らしよらしたバイ。
そして、「俺りゃ、下手くそばってん、上手か人は、何人でんおらす。おいが、シモさんちゅうて尊敬しとった人は、まがいもんの屁の音じゃのうて、本物の屁の音で、曲ば弾きよらしたバイ。四つん這いになってさい、尻ばもーってして、屁の音で、「きらきら星」ん音ば、出しよらした。そいでん、途中で腹ん中の空気のきれて、「キラキラヒカルーヨゾラノ・・」ぐらいで、終いやった。そいでん、あがん芸当は誰いーも出来んじゃろ。」ちゅうて、脇ん下で、屁の音ば出しながら、山んねのほうへ行ってしまわした。
2024,9 桃谷法信