一口法話    2024,6 桃谷法信

お水の変化
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 5月は、○○記念日が多く、1日のメーデー、3日の憲法記念日、5日の子どもの日、12日の母の日・・・、
 今年初めて知ったのが、15日の「水分補給の日」でした。クリスマスやバレンタインデー、ホワイトデー、七五三など商売と結びついた○○の日ですが、熱中症や脱水症の注意喚起のために、どこかの飲料関係会社が仕掛けたものかもしれません。
 喉の渇きで、水分補給の必要性を知らせてくれますが、人の体重の約60%前後の水分が保たれるように調整してくださっているのです。
 水やお茶、清涼飲料水、コーヒー紅茶、好みに応じて、水分を補給しますが、喉元を過ぎれば、どこにどう供給されているのか、私たちは、考えもしません。しかし、体内に吸収された水分は、それぞれの器官の働きに応じて、体液となり、血液やリンパ液、細胞内液や消化液などに変化します。
 消化液と言っても、唾液、胃液、膵液、胆汁、腸液など、ひとつ一つ働きが違います。唾液で言えば、本や新聞紙をめくる時、唾をつけてめくろうとすると、家族や若者は嫌がりますが、唾は、消毒液でもあり、消化液でもあるのです。昔は、ちょっとしたけがなど、唾をつけていたものです。犬や猫などは、傷口をなめています。食事をする時によく噛んで味わいながらいただくと、唾液は喜んで、仕事をして下さるのです。
 ここでは、詳しい体液の話ではなく、水分補給が不思議な働きで変化すること、本当に人知の及ばぬところで、これこそが、自然に転じられていく南無不可思議光(アミターヴァー、アミターユス)の世界に私たちのいのちが生かされている事の証明なのではないでしょうか。お念仏のはたらきに、現生十種の益が示されてありますが、「転悪成善」の益を水分補給の仕組みで味わってみました。「転じる」働きが私たちのいのちを支えてくださっているのだと深く感じています。
 ちなみに、水分は口腔内で80%吸収されるといわれています。一口、しばらく口に含んで、ゆっくり喉に流し込むようにしましょう。ゴクゴク、ぷふぁーはしないことです。
 











東井義雄先生の言葉⑥

 聞くということは、吸収すること

 
 私は長い間。教員をやってきました。私たちは授業の一環として、話し合いという時間を設けています。しかし、私は九州から北海道まで、あちらこちらの授業を拝見させていただいて、これが、本当の話し合いだというのには、ほとんど出会うことができません。言い合いなんです。そして、言い合いだから、討議になります。討議は、やっつけあいです。本当の話し合いというのは、実は、聞きあいなんですね。
 だから今の若者たちの像を漫画で描くとしたら、文句はよく言うようになったから、口は、相当に大きい。大きいだけでなく、人をやっつけるような口ですから、鋭くとがって発達している。目は、よろこびやしあわせが、いっこうに見えす、みえるのは、不平不満ばかりで、飛び出した目になる。耳は、どのように書けばいいかというと、あるかないかの点ぐらいを打っておけばいいのではないでしょうか。聞くという事を粗末にして、やっつけあいを育てることが、子どもの自主性を育てることだと考え違いをしてきたようです。
 私は、これが本当の聞きあいだと思いましたのは、北海道の根室のある小学校を訪れた時でした。ここは、1900人の児童数の大きな小学校ですが、1年生の教室で、こどもたちが話しているのを聞くと、子どもの顔ってこんなにもこんなにも美しいものかなと思うほど、輝いた顔で、話している、その声が、私の声のように、とがっていないのです。それは、どうしてかと言いますと、本当にいい顔をして、相手の言葉を頷いて、吸収して聞いているから、とがった声でなく、しみ込んでくるような声になっているのです。そして、他の子どもがしゃべりだすと、みんなは、身も心も、そちらに向いて、うなづきながら聞いている。これが本当の話し合い、聞きあいなんですね。


 
 ★6月行事 (住職動静)
13日 むりょうじゅ会 夜7時30分~
5日 退職教職員協議会役員会 15時15分~伊万里労金
9-27日栄町歌う会  20日 上本老人会例会 20日 知真日曜学校OGOB会(京都)

 







しっこりさん ③じゅーきゅー と にぎんめし

「今日は、よんにゅーもろおたばい。」ちゅーて、カーキー色の雑納ば、ふくらきゃーて、重ふたかごとして、歩いて来よらす。
「じゅーきゅーば、山んごと、もろーたけん、わいたちも、喰うてくいろ。」ちゅーて、じゅーきゅーイモば、いっちょずつ配らした。
 じゅーきゅーば喰いながら、しっこりさんな、「今日は、喰いもんの話ばすっけん。」ちゅーて、カックンちゃんの話ばさしたとさい。
 
 カックンちゃんという人は、おんなじゼンモン(禅門=乞食)ばってん、あん人は、背の高こうして、ボーズ頭ばしとらす。そして、カンカラ三味線ば、背中にかるーて、ぬっかときゃー、ふんどしいっちょで、そうつかす。カンカラ三味線ちゅうとは、一本線で、カンカラば、胴にしとらすばってん、都都逸どまーどがんでん上手かばい。
 チントンシャン、三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい、チントンシャン 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花・・チントンシャン・・・ちゅうて、歌おて、門づけばさすけん、人気のあって、よう、にぎん飯ば貰いよらした。
 そいどん、カックンちゃんな、すぐ、食べんで、握ん飯ば、往還(おうかん=道路)に転ばしてから喰いよらした。
 なして、そがんことすっと?よそわしかたいって、聞いたないば、こがんすっぎ、おかずはいんみゃーもん、カルシームもとらるっし、腹ん薬にもなーとたい。おりゃー腹んせーたこたー一回もなかばいって言いよらした。
 こん話は、あっちこっちで聞くけん、どこでんここでん、握ん飯に泥つけて、喰いよらしたごたー。おりゃー真似すっこたーでけんばってん。」ちゅーて、じゅーきゅーば、うまかごと喰いよらす。今夜は、屁の音ん、やかましかろねー
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*5月24~26日 鈴木君代さんの法話ライブは、いずれの会場も大盛況で、美しい歌声とわかりやすいご法話をしていただきました。ありがとうございました。