2015.12 桃谷法信

 11月12日、佐賀吉野ヶ里町の正安寺、矢俣昭水さんから電話で、「お願いしたいことがあるので、佐賀で飲みながらどうでしょう」と突然の提案がありました。
 矢俣昭水さんは、龍谷大学宗教教育部、知真日曜学校の先輩で、僕が入学した時には、卒業されていましたが、アルバムなどで拝見したことと、同じ佐賀県の出身ということで妙に親近感を覚えたことを思い出しました。知真日曜学校は正住寺というお寺で開かれていましたが、そこは、道路を挟んで平安高校(現:龍谷大平安高校)のグランドがあったのです。お寺の屋根や障子がたびたび被害にあって・・・というのは、広島カープで活躍した衣笠祥雄選手(平安高校出身)の打球がフェンスを越えて本堂や保育園の屋根を直撃していたからでした。そこで、毎週日曜日、近所の子どもたちを集めて、仏教の教えやレクリエーションをする活動をしていました。宗教教育部というのは、龍谷大学と京都女子大学の合同クラブで5法話のページへ,6人ずつ各日曜学校に配属され、京都や大阪、滋賀県など、20数か所で活動したり、全国のお寺を4人組で巡回公演するクラブでした。その教師集団の同窓会は、近い年齢のグループや同じ日曜学校のメンバーで2年に1回のペースで行われているのです。矢俣先輩とは、知真日曜学校の同総会で酒を飲み交わしていたのですが、「あなたとは京都では飲むが、佐賀では1回も飲んだことないねえ、そのうちやりましょう。」と言われていたのでした。
 そんなわけで、佐賀で一緒に飲むことになったのです。
夕方、一軒法務がありましたが、午前中に変えてもらい久しぶりに佐賀まで各駅の電車に乗りました。白山の「花たろう」という店で落合い、お刺身や湯豆腐、「くちぞこ」の煮つけを肴に銘酒「鍋島」をご馳走になりました。
矢俣先輩は、お酒オンリーでしたので、2次会は、酒だけしか置いてないお店「ふるかわ」(愛敬町)に案内しました。
 「ふるかわ」のおかみさんに「あなたは酒の味わい方がなってない、酒に謝りなさい。」とずいぶん昔、叱られて以来、佐賀で飲むときには、顔を出すお店です。全国の有名なお酒が冷蔵されて並べられ、この酒には、この肴で、(四拾七士というお酒には小芋の煮っ転がし)という感じで、お客の好みではなく、おかみさんが薦めてくださるものでお酒を楽しむという感じのお店でした。

 今回は、お店の様子が少し変わっていて、カウンターの上には、深鉢に、カニや貝など有明海の珍味が並べてあり、酒の肴を客が選べるように変わっていました。蝦蛄(しゃこ)に似ているけれど、殻まで食べられる「まじゃく」の煮付け、「わけ」というイソギンチャクの煮付け、赤貝より少し大きい「サブロウガイ」など、ムツゴロウやアゲマキ以外にも初めて舌にする美味しいものがいっぱいありました。
 初めに出されたお酒を飲むと、甘くてフルーティーだったので、「ああ、うまか、甘かですねえ。」というと、「あんた、まーだ、味わいをらんね。そい、辛口バイ。」とおっしゃる。「えっ、こい、甘口じゃなかと?」と聞くと、「酒は、口に含んで、少し噛むようにしてくちゅくちゅてしてからゆっくり飲むとタイ。そがんして飲んでんしゃい。」と言われたので、そのようにすると、さっき飲んだ酒と同じなのに、甘口ではなく、きりっとした辛口でした。
 矢俣先輩は、そのお店は初めてでしたが、話しているうちにお店の来客やお店の方の知り合いなどと、どんどんつながりが見えてきて、人間関係の面白さも満喫し、みんなどこかでつながっているんだといたく感心しました。
 帰ろうとすると、「最後にこいば飲んでいきんしゃい。」と言って、天山酒造のふるかわ様用特別吟醸の濁り酒をついで下さいました。一口飲んで、二口目を口にしようとすると、「ちょい待ち!」と言って、コップに水を出し、二口目の前に水を口に含んでから、(口直しをしてから)飲むように注意されました。「おいしかお酒は、そがんして飲むったい。ウイスキーもバーボンも焼酎もワインも。」とおっしゃいました。
 矢俣先輩のお願いは、来年の四月の法座にお説教に来て、ということでした。
 しかし、この日の数時間で、学んだことがいっぱいでした。一番心に残っていることは、「味わう」ということです。お酒だけでなく、衣食住すべての生活で、味わうことをどれだけおろそかにしていることが多いか、考えさせられた一日でした。
 お念仏も、御恩報謝を忘れて、ただ口にするだけの称名ではなかったか、称名念仏も、味わうことを忘れないようにしたいものです。
 アミターヤス、アミターバー、ナームアーーミイターバー、南無阿弥陀仏、 ナモアミダブツ、なもあみだぶつ、なんまんだー、なまんだぶ・・・


 仏像のまね⑩ お不動さん、仁王さん
 
 
阿弥陀如来の尊顔は、慈悲であふれています、奈良の大仏、毘盧遮那仏、薬師如来、大日如来なども優しいお顔をされています。観音様をはじめ普賢さんや文殊さんなど菩薩もほぼ優しいお顔です。
 しかし、仏像の中にも怒っておられる表情をされた方がいます。不動明王や孔雀明王、仁王さんなどです。人間界の煩悩や欲望が仏界に波及しないように火床三昧によって邪悪なものを焼き尽くす働きをあらわしたお不動明王、毒虫やコブラなどの害虫を食べることから、人々の災厄や苦痛を取り除く働きをあらわす孔雀明王、仏敵から仏や法を護るためににらみを利かす金剛力士の仁王さん・・・みんな、目を大きく見開いて、怒った顔をされています。
 私たちは、自分の欲が満たされなかったり思い通りにならない時に、怒りを発しますが、仏像の怒り顔は、そんなわがままな人間の姿勢を叱っておられるのだと思います。
 阿弥陀様は、決して怒った顔はされていませんが、そのまなざしから、お不動さんや仁王さんの心をくみ取ってこられたお念仏の行者がたくさんおられます。
 浅原才一さんは、「お六字は、どこを抜いても慚愧と歓喜、御恩うれしや、なむあみだぶつ」と、自分の欲や怒り、愚痴を恥ずかしいと思うと同時に、そこを目当ての御本願だったとよろこばれたのでした。
 うれしはずかしナモアミダブツです。
 
 
12月の行事予定

*2日(水) 下関・教覚寺様へ、仏教婦人会法座へ出講
*3~5日 基山・光蓮寺様へ、永代経法要へ出講
*13日(日)PM6:00~ 終いお講(むりょうじゅ会例会)
*14日(水)PM7:30~ 原明お講(百武初雄さん宅)


お取り越し報恩講の日程
    下記の様に予定していますが、ご希望があれば、お電話下さい。

 
・11月下旬~12月中旬・・・ご希望に応じて。
 
*12月14(月)~20(日) 原明、下本、佐賀方面
     *21(月)      佐世保方面
     *22(火)       岩谷

     *23(祝・水)    迎、舞原、その他
     *24(木)~28(月) 有田、大山方面 

 *12月31日 除夜の鐘 23時40分ぐらいから
          大晦日から元旦へお正信偈で新年を迎えます。
          恒例の福引もあります。お楽しみに!!




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