拝読?の御文章
2015.4 桃谷法信
 4月は、13日が、蓮如上人のお誕生日です。(グレゴレオ暦)
ですから、4月には、御文章披露の法座が行われていました。
「ヒャーケンサン(拝見さん)と呼ばれ、お弁当を持って大人はお寺へ、子どもは、どんつじ(堂の辻)のお地蔵さんの山へ、お花見もかねてお参りして一日を過ごす習慣がありました。 
 善證寺(北ノ川内)の木原さん、唯證寺(楠木原)の森山さん、浄真寺(戸矢)の高峰さんたちが、それぞれ1巻ずつ拝読され、残りの方は、離れでおしゃべりをしながら待機されるという時がゆっくり流れる時代のヒャーケンサン風景がありました。
 お斎(お弁当>を出したり、5巻を一人で拝読するときもありましたが、5時間もの間ずっと拝聴する人も減り、住職一人で拝読するのもつらくなり、2巻が1巻になり、今では、4月のむりょうじゅ会で、数章を取り上げて、味わうスタイルになっています。
 今月は、その御文章の味わい方を、何人かの方を例に出して、紹介したいと思います。

● この4月中学生になるA君は、毎月20日の夕方、月参りさせてもらっているIさん宅のご長男です。夕方6時半ごろにお参りさせてもらっていますが、祖父母、両親、子ども二人に加え、娘の嫁ぎ先のご主人と子どもたちも、仕事に都合をつけて、お参りされます。総勢10人で「讃仏偈」をお勤めし、法話を聴聞され、その後、御文章を全員で唱和します。幼児の頃、僕の黒い衣を見るだけで、泣きわめいていたA君が、鉄道ブームの中で育ち、(お仏壇の横には自作の鉄道ジオラマがあります。)今では、聖人一流章を聖典を見ないで大きな声であげます。毎月20日の、短い時間の積み重ねが、彼を育てたのでしょう。そして、思慮が深まる中学生活で、この御文章の内容を味わうに違いありません。

● 同じく今度中学生になるBさんは、毎月21日の夕方、月参りさせてもらっている西ノ岳のオサエ観音峠を越えた佐世保市内のKさん宅のご長女です。Bさんも讃仏偈をお勤めし、法話を聴聞した後、御文章の聖人一流章を暗記していて、一緒に唱和されます。どんな気持ちで、御文章を読んでいるのか聞いたことはありませんが、文語調の候文を不思議な気持ちで味わっていることは確かです。

● 8年前にお亡くなりになったTさんは、お気に入りの御文章のところに、マッチの軸やお線香を挟んで、しおり代わりのされていました。

● 100歳と三日でお亡くなりになったWさんは、白骨の御文章がお気に入りでした。お坊さんじゃなくても読んでもいいんでしょうか?とおっしゃりながら、口からお念仏さまがこぼれてきなさると言って悦んでおられました。

● お姑さんが毎日あげられる「末代無知章」を聞いて、暗記されたMさんは、お姑さんが亡くなられた後、ずっと「末代無知章」を拝読されています。

● 今年94歳のHさんは、毎日本山で拝読される御文章と同じところを拝読されています。彼が80歳の時、モンゴル自治区の恩格貝のアミダの森植林に行かれた時も、御文章を持参され、拝読されていました。


 御文章は、普通、こうべを垂れて、蓮如さまの声として味わうようになっています。つまり、御文章は拝読し、静かに拝聴するのが作法ですが、今は、ほとんどの方が字が読めるので、ご一緒に拝読することも大事なことではないかと思っています。ですから、月参りやお祥月の時でもご一緒に御文章を拝読するように勧めています。法泉寺のむりょうじゅ会では、全員が声を出して、大きな声で御文章を拝読しています。
 
 御文章箱に入ったまま、おうちの方は蓋を取らず、お坊さんがあけるとき以外は日の目を見ない御文章がたくさんあるのではないでしょうか。御文章は、お坊さん専用ではありません。おうちの方が読むものです。どうぞ、1日1回は、ふたを開けて、蓮如さまのお手紙を声に出して読みましょう。御文章は、飾り物ではありません。この機会にぜひ、お気に入りの御文章を見つけてほしいものです。
    御文章箱は、お仏壇の蓮如さまの前(左側)に置きましょう。


仏像のまねA

 先月から、仏像の形の意味を考えていますが、今月は、「手印」について、書きます。
                                          @施無畏印・与願印  A定印   B智挙印 

    
  C説法印   D触地印   E来迎印・摂取不捨印

阿弥陀如来のE「来迎印・摂取不捨印」は、人差し指と親指が合わさっています。これは、上品上生の印です。下品下生までの九品の印については来月のお楽しみ。
 

● 4月の行事予定

  12日 さくらまつり 法泉寺子ども雅楽出演12:00〜
  13日 むりょうじゅ会「御文章について」PM7:30〜
  14日 原明お講(松尾進一さん宅)PM7:30〜
  18日 佐賀ホトトギス会「松尾鉄仙さんを偲ぶ会」

*松浦組の順番報恩講
   山代善楽寺(16〜20)・松浦明尊寺(25〜29)
*桃谷自牽さんの出身寺・佐賀の報恩寺さんでも(3/28〜4/1)


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