今月の版画、「煩悩も具足、お慈悲も具足」という浅原才市さんのことばをを彫り乍ら、仏説阿弥陀経に出てくる供命鳥のことを思いました。体は一つで頭が二つの鳥の事です。
 阿弥陀経には、宝石や花や鳥など自然のものがたくさん出てきますが、如の世界が想像できない私たちに、わかりやすいように方便として説かれているのです。
 鳥と言えば、白鵠・孔雀・鸚鵡・舎利・迦陵頻伽・供命之鳥の六鳥が登場します。これらの鳥たちは、一日中きれいな声でさえずり、その鳴き声は、煩悩の迷いから目覚めさせる五つの力と、悟りの智慧を助ける七つの力を授け、神聖な八種の修行法を仏様に代わり教えてくれるのです。これらの鳥は、前世の報いで二つの頭を持つ姿に生れたものではなく、阿弥陀仏が教えを広めるために生まれ変わられた姿なのです。
 諸説ありますが、この鳥は、前世で非常に仲が悪く喧嘩ばかりして明け暮れていたそうです。片方が右へ行くと言えばもう一方は左と言うし、遊びたいと言うと。もう疲れたから休みたいと言うのです。体が別々なら、さして問題はありませんが、体が一つなので、当然、喧嘩になります。ある日食べ物のことで大喧嘩になり、片方の鳥がもう一方の鳥の首をかみ切ってしまいました。(毒の入った食べ物を与えたという説もあります) やっつけたと思って喜んだのも束の間、体が一つであるがゆえに、噛んだ方も命を落としてしまいました。死んでいく苦しみの中で、供命鳥は、気づくのです。「これまで。私は。わがままを言いながらも生きてこられたのは、あなたがいてくれたからこそだったんだ。」と。
 そして、この命は、私以外のすべての存在の上にあったと悟るのです。このことを仏教では、「自他一如」といい、あらゆろものは、相依り、相関わっており、私のいのちはたくさんのご縁のおかげをいただいて他のものに生かされているいのちであったということで、自分と他人は切っても切り離せない一つ如しなのだという道理なのです。
 こうして、この世の真理を悟った供命鳥は、極楽浄土へ往生できたということです。
 このたとえは、決して夢物語ではなく、私たち人間の姿を象徴的に表しているのです。私たちは、誰一人例外なく、この供命鳥なのです。

 他とのかかわりだけに限らず、私の心も供命鳥、私の存在自体が供命鳥なのです。
 そこを浅原才市さんは、「煩悩も具足、お慈悲も具足」と
詠われたのです。具足とは、備わっているということ、その備わっているものを丸ごと引き受け、任せよ、必ず救うと誓ってくださった阿弥陀如来の御本願、罪、咎、用なし、そのまま来いよの呼びかけに、ハイと答えてお任せする以外、助かり様のない煩悩具足の私は、お礼の言葉「なもあみだぶつ」を称えつつ、強く明るく生き抜くことができるのです。
  ありがたいことです。

右の絵は、ネットで探した供命鳥です。
版画の絵を彫ってから見つけました。
これをまねて彫ったらよかったと
後悔先に立たずです。


●法泉寺本堂ライブ

 3月の本堂ライブは、3月25日(金)午後7時より 情熱ラテンバンド「オリバーストン」の演奏でした。
 スティールパン(ドラム缶)の世界的奏者、原田芳宏さん、シンセサイザ^を思わせる音色が、まさかドラム缶でできた楽器で出せるとは思いもよりませんでした。小畑和彦さんのギターテクニックは圧巻で、ドラムスの石川智さんは音の小さなパーカッションで、春の小川の流れを表現されるタッチは職人技でした。、フレットレスベースの織原良次さんの泣かせるような音も素敵でした。
 一流のアーティストの演奏が、すぐそばで聴けたことは、本当に幸せでした。地元の有線TV有田ケーブルネットがカメラ三台で録画し、以下の日程で放映するそうです。いずれも1時間番組です。
 
 4月11日(月)9:30~,17:30~
   13日(水)11:30~、16:30~。21:30~
   15日(金)10:00~、21:00~
   16日(土)12:30~、21:30~
   17日(日)10:00~、18:30~
   
●4月の住職説法ライブは以下の通りです。

 4月6日(水)武雄・京都屋 18:30~ 鈴木君代さんと一緒に
 4月7日(木)原明・高齢者サロン 13:30~
 4月8日(金)吉野ヶ里町・正安寺 12:30~
 4月28日(木)伊万里市大坪町・老人連合会 13:30~

仏像のまね⑭ 様々な観音さま その3

 観音菩薩のお名前は、音を観るという漢字が当てられています。音は聞く、あるいは聴くもので、音を観るというのは不思議な気がします。世相の音なき音、声なき声を感じ取ってくださる働きを表わしているのでしょう。クリアーなCDの雑音がカットされた音ではなく、人間の耳には聞き取ることのできない重低音や超音波(人の可聴音域は、20ヘルツ~15000,20000ヘルツ)も耳ではキャッチできないが、体は感じているのだそうです。このような超音波も観音菩薩は、感じ取ることができるという意味で、観音菩薩や、観世音菩薩とよび、その働きが自由自在な救いの象徴として観自在菩薩とお呼びするのではないでしょうか。

 最近、ライブで、朝がきた(365日の紙風船〉をよく歌っているのですが、ついでに「朝はどこから」や「365歩のマーチ」も歌います。その歌詞の中に、「あなたのつけた足跡にゃきれいな花が咲くでしょう。人生はワンツーパンチ・・」というところの歌詞は、観音菩薩が歩かれるとその一歩一歩の足跡には花が咲くと説かれているお経を参考にされたのではないかと思ってしまいます。いずれにしても、阿弥陀如来の脇侍として、はたらきです。

●4月の行事

 6日(水)説法ライブ IN京都屋 18:30~
      (桃谷法信&鈴木君代)
10日(日)曲川神社さくら祭り 子ども雅楽出演 
      12:00前後
13日
(水)むりょうじゅ会 夜7時30分~
      (御文章について)
14日(木) 原明お講(岩永浩美さん宅)
23日(土) 朝9:00~ 土曜学校

一口法話

供命鳥(ぐみょうちょう)

2016.4 桃谷法信

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