僕は、おばあちゃん子でした。
母が学校に勤めていたので、生活全般、おばあちゃんのウタさんがお世話をしてくれました。寝る時もばあちゃんのそばで寝ていました。母の休みの時は、時々佐世保に買い物に連れて行ってくれていましたが、普段は、どうしていたのかあまり覚えていません。
 定年退職を前に58歳で病のために退職し、その年の7月23日、58歳と11か月で往生の素懐を遂げました。親不孝ばかりしていたので、30年以上たっても、忸怩たる思いがわいてきます。
 その母がしてくれたお話を思い出したので書いてみます。
 母が家にいたので、日曜日だったと思いますが、雷がひどい日でした。昔は、「雷さんの鳴るぎ、臍(へそ)ば取らすバイ。」「雷さんのならすぎ、蚊帳ん中にひゃーらんば。」「くわばらくわばらってゆうぎ、おっちゃけらっさん。」などという言い伝えがあったので、その日は蚊帳に入っていました。 母も入ってきて、唐津かんねさんの話をしてくれたのを覚えています。

かんねさんの話その1

 かんねさんの道ば歩きよらしたぎ、向こうから、白か杖でトントントンてじいだば(地面を)突っつきながら、めくらさんの歩いてきよらすとにおうたけん(会ったから)何しよっとねって聞いたぎ、「なら漬けばおっちゃかしたけん(落としたので)探しよっと。」て言わしたとさい。
 かんねさんなドキッてさした。なしてないば、さっから(さっき)奈良漬けのおっちゃけとったけん、拾うて食うてしもうたけん、ドキッてさしたとさい。そいでん、知ら~んふいして、「なら漬けば、なして、おっちゃかしたと。」って聞いたぎ、「ありゃあ、おいが薬たい。医者さんのあんたにゃ、どがん薬ばやったっちゃ効かんけん、こいば貼っときんしゃい、ちゅうてくいらしたけん、貼っとったとさい。そいば、どけ(どこに)、おっちゃかしたとやろ、困ったにゃあ。」って言わすけん、「その奈良漬けちゅうのは、何に効く薬ね。」って聞いたぎ、「俺りゃあ、前から痔の悪うしてくさい、どがん薬でん効かんやったとばってん、奈良漬けはよ~効くごたったけん、尻のすに貼っとったったい。そいば、いつんはじゃおっちゃかしたとやいろ。」って言わしたけん、かんねさんの「おえーっ」ってさしたて。

かんねさんの話その2

 おばっちゃんのとけ(ところに)用事のでけて、かんねさんの行かしたぎ、「よー来たね、白かご飯ば炊いてやっけん、喰うていきんしゃい。」って言わしたけん。丁度、腹んへっとったかんねさんな、どがんでんうれっしゃーして、「白か飯ば喰うとは久しぶいたい。」ちゅうて待っとらしたて。
釜屋んほう(台所の方)から、甘ーかよか匂いのしてきたけん、のぞかしたぎ、ちょうど、ハガマん蓋ばとって、飯茶碗にめっしゃくし(しゃもじ)で、飯ばつぎよらすとこやったて。そん時、おばっちゃんの鼻からつーって鼻水んおっちゃけたけん、〈うわーよっそわしかー〉て思うて、「急に用事ば思い出したけん、帰らんばなん。そいぎーさいならー。」ちゅうて白か飯は食わんで帰らした。
 十日(とうか)ばっかいして、また用事んでけて、かんねさんなおばっちゃんとけ行かしたて。そん日はぬくうしてたまらんやったけん、汗びっしょいなって、「あーぬっかった。」て言うたぎ、「つめーたか甘酒んあっけん、飲みんしゃい。」ちゅうて、湯飲み茶碗にいっぱいついできてくいらしたけん、かんねさんなぐーって一息で飲み干して、「あーうまかー、もういっぴゃーくれんね。」ちゅうて、二杯目も飲み干さしたとさい。
 おばっちゃんな、喜んで、「そりゃーお前が、十日前来た時、飯ば喰うていかんやったけん、あん時の飯で作っとったとさい。」って言わしたけん、かんねさんな、また、「おえーっ」ってさしたて。

 母が語ってくれたかんねさんの話を、どうして今頃になって思い出したのか、還相摂化(げんそうせっか:お浄土からこの世に帰り来て、教化する)のはたらきで、仏と成った母がそばに来てくれているように思いました。

仏像のまね⑰ 怒りの仏さま

 仏像には、穏やかな表情をされている仏さまばかりではありません。憤怒の形相をした仏像もたくさんおられます。お不動さんや愛染さんなど主に明王と呼ばれている方々です。
 明王には、他に孔雀明王、降三世明王、軍茶利明王、大威徳明王などがありますが、邪鬼やシバ神(ヒンドゥ教の自在天)、そのお妃の鳥摩天后を足で踏みつけたりしています。いずれも、仏教の教えに従わないものたちを、忿怒の形相で教化する仏です。手には武器を持ち、手や足、顔の数が違う異形の姿がほとんどです。これは、仏敵を外に見ると同時に、内面に巣食う煩悩への対応も兼ねているのだそうです。
 
 ●7月の行事


9-10 佐賀市蓮池町西芳寺永代経 説法ライブ
19日 原明サロン 説法ライブ
20日 伊万里東円蔵寺 説法ライブ
30日 土曜学校(朝9時~10時)

    
 前坊守33回忌法要(11時~)
   *午後4時より倶会一処堂落慶法要、
     ご門主御消息披露。
   *5時より 祝賀会


●7月は、むりょうじゅ会はお休みです。
●7月の月参りもお休みです。

●お盆参りの日程は、下記のように予定しています。

  
                 日程や時刻のご希望はお知らせください。

 地区
1~12日  ご希望の方、お電話かメールをしてください。
13水  初盆、上本、有田方面、舞原、大山方面
14木  原明、下本、楠木原
15金  黒川、北の川内

2016.7 桃谷法信

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