反響
2014.9 桃谷法信
 むりょうじゅ7月号の集団的自衛権に反対する記事への反響が、予想以上に大きい。
 口頭で「全く同感!」という人もあれば、メールで、意思を表す人もある。
 長門市のE・Kさんは、お手紙と寺報と一緒に、毎日新聞の切り抜きを同封されていました。
 長門市に住んでおられる本岡靖司さん(69)が、安倍晋三首相の選挙区である山口4区の若い人に読んでほしいと持参された新聞の切り抜きのコピーでした。新聞を普段読まない高校生にぜひ読んでもらいたいとの願いのこもったコピーです。7月10日づけの毎日新聞「特集ワイド」で発表された作詞家なかにし礼さんの「戦争の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」という詩でした。
 最初は、「目覚めよ」と若者に自己変革を求める詩だったそうですが、「心優しき若い世代こそ平和を守ることができる」と詩の内容をがらりと変え、呼びかけるような詩を創られたそうです。
 「世の中平安なれ、仏法広まれかし」という浄土真宗のスローガンの具現化と親鸞様やお釈迦様に共通する「兵戈無用」(武器はいらない)の精神を貫くために、たくさんの方ができることを始めておられます。
 今月号は、なかにし礼さんに敬意を表しつつ、前文を掲載させていただきます。本当は縦書きですが、紙面の都合で、横書きにしました。若者に読みやすいように所どころにルビも降ってありましたが、省略します。ただ、「禍々しい」は、「まがまがしい」と読みます。
二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々しい
暗黒時代へと戻っていく
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため?大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいていないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和が続いた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争なんかまっぴらごめんだ
人殺しどころか喧嘩もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は臆病なんだ
俺は弱虫なんだ
卑怯者? そうかもしれない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも
勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々しい風が吹くじゃないか
恐れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生れ出たとき
君は命の歓喜の産声をあげた
君の命よりも大切なものはない
死んではならない
が、殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!
言葉を味わう F借用證

 近所の岩崎薫氏が、家を解いていたら出てきたといって、古文書や書をいくつか持ってこられました。その中に「五尺體借用證」というのがあり、所どころ読めない字があったので、古文書の読める前山博先生のところに行きました。前山先生は入院中で奥様のノブ先生と三人で、病室のベットに古文書を広げてみていると、ノブ先生が、「どうも仏教に関係してるみたい」と言われたことがきっかけで、すらすら読むことができました。読み終えた途端、三人で大笑いしました。書き下しで書いてみます。
 
五尺體借用證  
一、地水火風空  但し、煩悩具足の身
右は、仏法聴聞の御用に付き借用仕り候こと実証なり。尤も老少不定の世界故、無常の風吹き次第、何時にてもご返済申すべく候。利息としては、王法仁義屹度(きっと)相守り申すべく候。若し、宗祖のご法義に相背きそうらえば、何時、無間地獄にお引き取り下されども、一言の不足申すまじく候。依って、後日のため一札件の如し

        娑婆国浮世郡御法義村第十八願地 極善開発一念 
               借用人 金剛信者 引受人 七高僧次第
                                相承り善蔵
冥土国 閻魔大王殿  
御大典記念 昭和三年十一月十日
       西松浦郡大坪村 金剛信者代書人 清月道人 六十八翁謹書

というものでした。この体は、仏法聴聞のために閻魔さまから借りているという内容で、中身は、仏法聴聞を重ねていなければなかなか書けない深いお味わいとなっています。 大坪村の善蔵の印が、中島善三となっていたので、大坪の西念寺さんに問い合わせて、特定しようと思っています。何しろ、西念寺さんのまわりは中島ばっかしですから・・・ 
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