今年の8月の暑さは格別でした。
気温の髙さもさることながら、リオデジャネイロのオリンピックは、メダルラッシュに熱く燃え上がりました。
 チームジャパンは、寝不足を吹き飛ばす様々な快挙を成し遂げ、地球の裏側で繰り広げられている時差も忘れるほどの活躍ぶりでした。そして、メダルを獲得したアスリートたちのコメントに共通したものは、感謝の言葉でした。
 そのことに最初に気づいたというより、気にかかった言葉は、200m平泳ぎで金メダルを獲得した金藤理絵選手のプールサイドでの言葉でした。彼女は、「加藤コーチ」の名前を3回口にしました。よっぽど厳しい鬼コーチだったのか、親身になってメンタル面までサポートした指導者だったのか、それはわかりませんが、苦しい時もつらい時も、目的に向かって歩みをともにされたからだと思いました。それとともに彼女は、一緒に泳いできた仲間や支えてくれた家族、応援してくれたたくさんの人たちのことも口にしました。彼女の栄光の陰には、数えきれない大きな力があったのだと思いました。そして、メダルを獲得したたくさんのアスリートの感謝の言葉を聞いていくうちに、親鸞様の現世利益和讃を思い起こしました。
 南無阿弥陀仏を称うれば 十方世界の諸仏は
 百重千重囲繞して、よろこびまもりたもうなり
 アスリートたちの力は、確かに人より優れた才能かもしれないし、人一倍の練習、精神面の鍛錬、本人の不屈の努力のたまものかもしれません。しかし、同じように努力した人は世界中の0.1秒の間に何千人もいるはずです。その頂点に立てるたった一人の存在とは、何によるものでしょう。百重千重取り囲んで応援してくださった方々の眼に見えない力こそ、背中を押す大きな力だと思ったのは、男子体操の団体の時と個人種目別競技の時の違いで強く感じました。
 南無阿弥陀仏を称えるから、たくさんの人が守ってくださるんじゃない、たくさんの人に守られているという自覚(応援されているという感覚)が、その人の持つ力を倍増させ、その後に出てくるのが、感謝の言葉(南無阿弥陀仏)なのだと思います。
 ジャマイカの三冠ウサイン・ボルトさんは、ゴールの後、グランドに接吻し、胸で十字をきっていました。
 走ることができるのは、大地があったからだという彼の感謝の表わし方であり、大いなる働きとして彼が信ずる神への感謝の表現なのでしょう。
・このことは、メダルを獲得したり、入賞した選手のことではありません。私たち一人ひとりにも当てはまります。私たち一人ひとりの存在が、どれだけの人と物と環境に支えられているか、私たちのいのちがどれほどたくさんのいのちに支えれれているか。支えられてきたか、に思いを馳せる時、百重千重どころではない、何億何兆のはたらきに囲繞(取り囲まれて)されているか想像もつきません。
 そこを親鸞さまは、百重千重囲繞して、十方世界の諸仏がよろこびまもってくださっていると表現されたのです。
お礼の言葉は、「なもあみだぶつ」です。


雅楽の交流
 
 8月27日(土)長崎県北松浦郡佐々町から神田雅楽団のみなさん(大瀬源次会長以下総勢17名)が来寺されました。明治30年頃、草鞋を3足、首にかけ西ノ岳を越え、佐々まで徒歩で雅楽を伝えられた曽祖父の桃谷自牽さんの功績に対するお礼の演奏をするためにやってこられたのです。自牽さんの報恩法要として子ども雅楽の伴奏で、宗祖讃仰作法をお勤めし、子ども雅楽が歓迎の意を込めて(越天楽今風、桜、祇園楽、遠き山に陽は落ちて、ほおんこさん)の5曲を演奏しました。今回のお世話をしてくださった橋本義雄さんのあいさつの後、神田雅楽の演奏が始まりました。君が代、越天楽、抜頭の3曲演奏していただきました。有田ケーブルネットの録画もあり、ニュースで取り上げてくださるそうです。その後、門信徒会館で交流会をしました。40客の椅子では足りず、本堂から椅子を運んで、子どもたちは唐揚げやポテト、大人は、刺身や寿司で10リットル用意していた生ビールがあっという間に底をつき、追加しました、祇園楽を踊ってくださった老人会の女性部の方々も加わって、大賑わいとなりました。これからも交流を続けようと約束して、3時過ぎにお開きとなりました。

2016.9桃谷法信

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仏像のまね
⑲ 不空羂索
(ふくうけんじゃく

 奈良東大寺法華堂(三月堂)のご本尊、不空羂索観音像は、三つの眼と八本の手がある「三目八臂」
(さんもくはっぴ)の姿で、あらゆる人の悩みを逃さず、救済するという意味の「羂索」のほか、合掌する手の中に小さな水晶の宝珠を持っておられます。その上に縦向きに第3の眼があり、その上の宝冠には、水晶の大きな宝珠があり、手中の小宝珠と連動し、その宝珠から霊的な救済力を持つ光線が矢のように放たれるのです。733年に創建された三月堂は、初め、羂索堂と呼ばれていましたが、羂索とは、縄を意味し衆生救済のシンボルとして、霊験を発揮するのです。
 数珠やお念珠に水晶が多いのは、そのことと関係があるのではないでしょうか、水晶玉が羂索されている(縄でつながっている)ことで、救済を実感できるようにと言うのは、あまりに飛躍しすぎているとも思うのですが…

 
 ●9月の行事

-4日 松浦組仏教壮年会研修会(安吾)多久東原庠舎
  
住職、副島信一さん、西川澄夫さん、岩永久止さん、中島惇而さん参加予定
10日 連研、(桃川・浄誓寺)
13日
 
むりょうじゅ会 夜7時半~
14日 原明お講 松尾進一さん宅
15日 JA 波佐見年金友の会 説法ライブ
20日 広瀬山高齢者サロン説法ライブ

20日~22日 秋の彼岸会 
    夜7:30ー 
22日は朝10時からもお勤めします。
24日 土曜学校(朝9時~10時)
28-29日 飯塚長泉寺様へ出講(秋の彼岸会)

    
 

 9月10日(土)のテレビ「なんでも鑑定団 in 有田」に出演することになりました。
中林梧竹さんの書かれた「雪中松柏」の2層屏風が選ばれました。
 有田焼創業400年だったので、有田に関係のある谷口藍田の書を第1候補にしていたのですが、大きさで選ばれたようです。しかし保存状態が悪く、破れや汚れ、墨の剥離などが多々あって、
評価は低いように思いますが、とにかく出品しますのでご覧ください。

百重千重囲繞して
 ひゃくじゅうせんじゅういにょう

一口法話