不思議な一日
2013.7 住職:桃谷法信
 6月15日、大分宇佐組の仏教婦人会総会に御法縁をいただきました。大学時代の同級生、平田崇英君が住職を務める教覚寺が会所でした。1時間ばかりの御取り次ぎをさせていただきました。その夜は、ギターに関心のある用正(ようしょう)さんと松寿(しょうじゅ)という変わった名字の方と平田君の弟さんの崇明さんと5人で飲みました。用正さんが持参したヤイリの手造りギターの音の良さに、ついつい、サーモンとガーファンクルの曲などを口ずさんで、楽しく過ごしました。その晩は婦人会が用意して下さった「かんぽの郷宇佐」に泊まりました。

 6月16日、宿で目を覚ましたら、目に飛び込んできたのが、大分県歴史資料館の冊子でした。パラパラとめくると、宇佐神宮のことや臼杵の磨崖仏、鏝絵(こてえ)などが掲載されていました。すぐ近くにあったのに開館が9時とかいてあったので、朝食を早めに済ませて、それまでに、近くの熊野磨崖仏と真木本堂、富貴寺に行ってから資料館を見学しようと思いました。
 
●フロントで地図をもらって、カーナビで熊野磨崖仏を検索し、出発。宇佐神宮(5月に平田君に案内してもらっていた)を過ぎて、国道10号線を別府の方へ向かいました。地図では左折した方が近い感じなのにカーナビは、直進と言います。「立石」という地区を過ぎて左折した訳があとでわかりました。200円の入山料を払ったら杖を勧められ、「最後の坂は急だから」と言われました。300メートルほど坂を登ると、最後の急坂「鬼の築いた石段99段を3回ほど休んで登りました。息を切らして登り詰めると、大日如来と不動明王の大きな姿が崖に刻まれていました。大日如来は、薬師妙来の様でもあり、僕には、阿弥陀如来の御顔に見えました。そこでパンフレットを読んでいたら最後の百段目の石は、権現様の鶏の声を聞いた鬼が逃げる途中に放り投げた石が、立ったままになっていることから、「立石」という地名ができたと書いてあったので、カーナビの言うとおりに来てよかったと思いました。それが不思議な一日の始まりでした。

●真木本堂は、阿弥陀如来を四天王が守り、その両脇は、大威徳明王と不動明王という不思議な組み合わせでした。菊花の御紋のある旧本堂の裏にある国東塔で、まるでコブラのように平べったくなって鎌首を持ちあげた蛇に睨まれたので、びっくりして見つめていると、普通の「びきとりへび」に戻って、アジサイの下に行ってしまいました。

●富貴寺の本堂は、端正なたたずまいで阿弥陀三尊を安置し、その背後には、極楽浄土の壁画が描かれてありました。創建したのは、宇佐神宮の大宮司家と聞いて、神仏習合の歴史を感じました。

●大分県歴史資料館の入り口正面には、先ほど見たばかりの熊野磨崖仏の大日如来のレプリカが原寸大で鎮座されていました。左の展示室では、「ヒトと大地の近代」と題した企画展が催され、馬上金山など大分県の鉱山の歴史と文化を紹介してありました。2日前に原田巌さんの炭坑の話を聞いていたばかりだったので、カンテラや石刀などの展示が不思議に重なってしまいました。鏝絵(こてえ)の展示に宗育部の先輩桐田実千代さんが小さな鏝絵の作品を創っておられることを思い出しました。

●帰路、大分道の由布岳が見えるところで、上田正臣さんから電話がかかり、米岡省子さんから頼まれていた言葉を色紙に書いたので、連絡先を教えてくれとのことでした。帰りに立ち寄ると、「声に姿はなけれども、声のまんまが仏なり。仏は声のお六字と、姿を変えて我に来る。」と書かれた色紙ができていました。もう1枚には、そのあとに、「今、ここに阿弥陀さまの大悲が届いて下さっている証し。だから、お念仏って・・・尊いんだよなあ・・・」
という高松悟峰和上(1866〜1939)のつぶやきが書き足されてあり、ネットで調べたという上田さんの説明を聞かされました。これも、不思議なことの一つ。

 *続きは裏のページへ(今月は仏教的健康法はお休み)


●帰宅すると、東本願寺の鈴木君代さんからの大きな封書。
「自照同人」という冊子で、「いのちの花を咲かせよう」鈴木君代の25回目「すでに悲願います」が掲載されているものと、24回目の「伝えたいこと」のコピーが入っていました。二つの文章から、君代さんを育てているものは、喜びも悲しみも含めたすべての「であい」なのだと思いました。
 特に「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と念仏の姿に遇わせてもらうたびごとに、念仏者という特定の人がいるのではなくて、あらゆる存在を、友・同朋としてみいだしていく在り方を念仏者というのだとおしえられました。」というところは、何回も何回も読み返しました。読み返したことなどなかったので、不思議な気分でした。

夜の法務は、百武初雄さんのお父さんの祥月命日でした。奥様の実家の倉八家の先祖追悼法要も併修させていただきましたが、お茶をいただきながら、福岡今宿の徳正寺・武内英真師から送ってもらわれた「すでに救いの中」というご本を見せていただきました。パラパラとめくってみると、金子みすずさんのことや東井義雄さんの事を善知識さまと仰がれていることが目にとまり、僕と同じだと思い、そのご本を貸していただきました。あわせて、奈良県の吉野で開かれた夜桜法会の石川欣也師(奈良善正寺前住職)と梯實円師(本願寺派観学)の法話の記録(清教寺門徒松尾拓成さん・法名釈応観による文章)もお借りしました。帰宅してビールを飲んだ夕食後に読ませていただいていたら、梯先生の文章の途中で、眠ってしまっていました。もったいない不思議なことでした。



*7月のむりょうじゅ会は、お盆のため、お休みです。
盆経のお参りの予定は、概ね次のような日程です。
13日(土)・・・初盆、有田方面、上本、大山地区
14日(日)・・・下本、原明
15日(月)・・・黒川、北川内、他
*一応、上記の予定ですが、10日ぐらいからお参りします。ご連絡ください。TEL 090-4989-1768
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