先月9月号は、アスリートたちやアーティストの力は、たくさんの人々や周りの環境の応援力とそれを感じることのできる感性から生まれるのであろうということについて述べましたが、今月は、ご先祖様のご加護というより、冥守護持という信心を得たものが見えない世界からの不可思議な力に守られているということについて、述べてみたいと思います。
 9月10日(土)に、なんでも鑑定団IN有田の収録が炎の博記念堂でありました。役場の方や教育委員会などから、出品数が少ないので、何かありませんかという相談があり、本願寺勧学の島地黙雷の扁額{功徳蔵」や谷口藍田書の掛け軸、中林呉竹の扁額「光明殿」などを出品したのですが、選ばれたのは、中林呉竹の二双屏風「雪中松柏」でした。聞くところによると、200点ばかり応募があったそうで、破れたり、汚れたりしているものがよく選ばれたなと思っていましたが、その意味が分かったのは、出演者の控室で話をしている時でした。鳥栖からヒェラーリに乗ってこられた精肉店の御主人吉家さんは、出品された柿右衛門様式の人形のほかに、13代柿右衛門の角壺を出品されたそうですが、傷もなく文句のつけようもない完璧なその壺は選ばれなかったそうで、鑑定団の先生方の蘊蓄を視聴者が面白く視聴できるようなテレビ局の演出だと感じました。
 演出というと、製作会社nexusの森住デェレクターがどこで調べたのか、袈裟衣姿でギターを持って一節歌ってくださいとの注文でした。
 鑑定してくださった安河内眞美さんも、中林呉竹について、詳しく解説していただき、松柏の意味も「厳しい状況の中でも、志を曲げないという意味を込めた4文字である。」」ということを教えてくださいました。
 この書は、明治の三筆の一人で佐賀県の小城市出身の中林呉竹さんが、80歳ごろに書かれたものだそうですが、その屏風がなぜ法泉寺にあるのか、不思議です。
 古い箪笥の引き出しには、表装されていないしわだらけになった水墨画や書が多数ありますが、残念ながら、作者がわからないものがほとんどです。しかし、その多数の書画は、祖父法隆やその弟の遠慶(おんきょ)が書道に造詣が深く、二人の知り合いが遺してくれたものだろうと思われます。

 また。じいちゃんが書いた文字は近辺の記念碑や石塔、墓などに多数残されており、その父である曽祖父の桃谷自牽さんが、それ以上に、書に造詣が深く、書に通じた各地の文人との交流があったことを示しているのではないかと想像できます。
 なんでも鑑定団への曽祖父の屏風を出点したことがきっかけで、色々なことに気づきました。子ども雅楽で吹いている竜笛や篳篥は、曽祖父のもので、百年以上昔の楽器です。  8月の終わりの雅楽交流で佐々町の方が来寺されたのも、ひいじいちゃんのつながりがもとになっています。

 
   

 
中林呉竹の「雪中松柏」  曾祖父 桃谷自牽


 百年以上も前の事が、色々な面で今につながっています。百年の時を超えて、ひいじいちゃんに見守られているような気がしてきました。

 南無阿弥陀仏を称うれば 十方世界の諸仏は
 百重千重囲繞して、よろこびまもりたもうなり

この親鸞さまの御和讃は、同じ時代の諸仏ばかりではなく、時代を超えて見守ってくださるたくさんの諸仏、ひいじいちゃんもその諸仏なのだと感じました。
 お礼の言葉は、「なもあみだぶつ」です。

 ちなみに、自己評価額は40万円、結果は80万円、状態が良ければ150万円ということでした。

 

一口法話

百重千重囲繞して その2
 ひゃくじゅうせんじゅういにょう

2016.10 桃谷法信

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仏像のまね⑳ 鑑真像と毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ

 40年以上昔のことですが、奈良に住んでいたことがあります。近鉄沿線の学園前に2年、平城宮祉の中にある新大宮に2年ばかりですが。近くに唐招提寺がありました。近鉄橿原線の西の京から歩いての途中に古民家の喫茶店があったのが懐かしく思い出されます。唐招提寺は、鑑真さんの創建です。戒律を伝えるために5度の渡航失敗にもめげず、失明しながらも仏法を伝えたい一心で6回目にして成功させたのは、天平勝宝5年(753)のことでした。鑑真は、翌年、東大寺に入り、大仏殿に戒壇を築いて聖武天皇をはじめとして400人に戒を授けました。梵網経に説かれている本尊の毘盧遮那仏が唐招提寺に造立されたのは、鑑真さんが亡くなった後中国からついてきたお弟子さん二人と言われています。そのお顔は、中国的で顔の幅が広いのに比べ、東大寺大仏の毘盧遮那仏は、日本人的なお顔をなさっています。唐招提寺の毘盧遮那仏の光背には、千体の仏像が取り付けられてあり、その一つ一つから光が放たれ世界の隅々まで照らしつくすという意味があるのです。毘盧遮那仏とまではいかないまでも、鑑真さんの不屈の精神はまねしていきたいと思います。

 
 ●10月の行事

日 キッズサンガ佐賀・子ども雅楽出演
3日 法泉寺ライブ ギター小畑和彦さん サックス三四朗さん
4日
 
連研事前学習会 教法寺
7日 大野高齢者サロン説法ライブ
8日 連研講師 平和について 教法寺
9~11日 鳥取・養源寺お寺コンサート出演
12日 伊万里口石病院ライブ
13日 有田町歴史探訪①(おサイさんの道)案内
13日 むりょうじゅ会 夜7:30~
14日 原明お講 浦川像治郎さん宅
19日 切口高齢者サロン説法ライブ
20日 桑木原高齢者サロン説法ライブ
22日 土曜学校(朝9時~10時)
25日 JA 東彼杵年金友の会 説法ライブ
20日 広瀬山高齢者サロン説法ライブ
27日 有田町歴史探訪②(有田焼創業400年の背景)
30日 永代経法要(全門信徒追悼)13:00~