「草木の よろこぶ梅雨を よろこばん」
ラジオの俳句番組で聴いた句が、耳に残っています。

梅雨のイメージは、じめじめしている、うっとおしい、気分が晴れない、など、マイナス的ですが、上記の句は、人間のそんな勝手な思いを払拭する痛快さがあります。
 「草木のよろこぶ梅雨を、一緒によろこばせていただきましょう。」という感性は、人生のあらゆる営みに通じるものではないかと思いました。

 「人生は、苦なり。」とお釈迦様がお示しになりました。
苦もまた、マイナスイメージとして受け取られがちです。
生、老、病、死 の四苦と、愛別離苦(あいべつりく:愛するものと別れる苦)、怨憎会苦(おんぞうえく:憎たらしいものと一緒にいなければならない苦)、求不得苦(ぐふとっく:ほしいのに手に入らない苦)、五蘊盛苦(ごうんじょうく:自分の体なのに思い通りにならない苦)を合わせて八苦。
 この四苦八苦の真っただ中にいて、刹那的な喜怒哀楽に酔いしれているのが、煩悩俱足の凡夫である私たち人間であると示してくださったのです。
 仏道に出会うことがないならば、その苦しみを避けようとしたり、苦しみと闘ったり、苦しみの中でもがきながら、たった一つのいのちの終わりを、むなしく迎えることになるのです。
 お釈迦様は、苦を明らかにし(苦諦:くたい)、その原因を明らかにし(集諦:じったい)、苦とともに苦を乗り越える道を示し(道諦:どうたい)、悟りに至るとらわれない生き方(滅諦:めったい)を示されました。それが、具体的に示されたものが「八正道(はっしょうどう)」と言われる実践方法なのです。
 「正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定」の8つです。

苦を離れ、悟りを求める。究極のしあわせ、至福への道を求め、数多の僧がその行に挑んだのでしょう。しかし、仏滅後。2500年、いまだに悟りを得た人は現われません。
 お釈迦様の予言通り、56億7千万年後の弥勒菩薩が悟りを得て、仏になられるまで、出現されることはないのかもしれません。
 それほど、この苦を除き、悟りを得るということは難しいのです。 自力の修業が、いかに難しいか、ということです。
自分で、苦を取り除こうとするから、難しい、能力のある人でさえ、難しい。
 何とかできないかと、経典を読破し、阿弥陀如来のはたらきに注目されたのが、龍樹、天親というインドの先達、曇鸞、道綽、善導という中国の高僧、そして、聖徳太子や恵心僧都、法然上人などのいわゆる浄土教を伝えてくださった方々のバトンリレーでした。
 親鸞聖人は、その方々のみ教えの中に、苦は、苦のままで、大きな働きにお任せするという選択をされたのでした。あるがまま、そのまんま、のまま、アミダというはたらきにまかせる生き方、それが、苦を乗り越える唯一の方法だよと教えてくださいました。

 悲しみ、苦しみ、悩み、煩わしさ、・・・そこから、逃れる方法は、その中に身を置くしかない。その中でその意味を感じ、そこから学ぶ姿勢を習得する。

 「苦あれば、楽あり。」 「悲喜こもごも」 「僕らはみんな生きている。生きているから悲しいんだ。(1番) 生きているから、うれしいんだ。(2番)・・・・・・
どんな詩や歌にも、初めに、苦しみや悲しみがあり、喜びや嬉しさは、あとから書かれています。病気をすることによって、本当の健康の良さが味わえます。病気をしたことがない人は、健康であることさえ分からないのです。
 阿弥陀如来は、苦悩の有情こそ、救いの目当てであると誓われました。

「如来の作願をたずぬれば、苦悩の有情をすてずして、
 回向を首としたまいて、大慈悲心をば成就せり。」


 お礼の言葉は「ナモアミダブツ」です。

   7月の行事予定

●7月は、むりょうじゅ会はお休みです。
●7月の月参りもお休みです。
●お盆参りの日程は、下記のように予定しています。
  
日程や時刻のご希望はお知らせください。
・曜  地区
12日  ご希望の方、原明、黒川
13月  初盆、上本、有田方面、舞原、大山方面
14火  原明、下本、楠木原
15水  黒川、北の川内
仏像のまね⑤ 北面西右脇ー2

 お釈迦様やたくさんのお坊様、親鸞さまも頭北面西右脇で往生の素懐を遂げられました。
 では、何故、頭北面西右脇で往生されるのでしょう。

 頭北とは、いわゆる北枕のことです。北枕は、縁起が悪いとか、死んだ人を北枕に寝かせるんだよ。などと言われます。
 しかし、人の体は、頭から電磁波が出て足の裏から入ってくるのですが、、地球の磁力線に合わせることにより血行を良くする効果が期待できます。それに、頭寒足熱も自然に備わり(北半球)、西を向くのは、西方極楽浄土を願うことにつながります。
 右の腹を下にするのは、心臓の負担を和らげ、胃液の逆流を防ぎ、消化を助け、大腸で発生するガスを早く体外に排出させる姿勢なのです。参考にできる次の書き込みを見つけました。
 
ドイツとチェコの研究チームによると、グーグルアースをもとに、五大陸308箇所の牛8,510頭を調べた結果、エサを食べたり休息したりする個体の大半が北を向いていた。研究チームは「地磁気に反応している」と推測している。
苦を味わう 

2015.7 桃谷法信

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