法泉寺のまわりは、西側の葡萄畑を除けば、水田に囲まれています。
田んぼに水が引かれると、どこからやってくるのでしょう、蛙の合唱が始まります。この時期になると、「蛙の笛」をよく歌います。
1、月夜の田んぼで、コロロコロロコロロコロコロなる笛は、
  あれはね、あれはね、あれは、カエルの銀の笛、
  ささ、銀の笛
2、あの笛、聴いてりゃ、コロロコロロコロロコロコロ
  眠くなる
  あれはね、あれはね、あれは、カエルの子守歌、
  ささ、子守歌
3、カエルが、笛ふきゃ、コロロコロロコロロコロコロ、
  夜が更ける
  ごらんよ、ごらんよ、ごらん、お月さんも夢見てる、
  ささ、夢見てる。

 同時に、親鸞様の「念仏田植え唄」も口からこぼれます。

1、五劫思惟の苗代に、兆歳永劫の代をして、
  一念帰命の種おろし、自力雑行の草を取り。
2、年々相続の水流し、往生の秋になりぬれば
  この実とるこそ嬉しけれ、この身摂るこそうれしけれ

 常陸の国に赴かれた御開山親鸞聖人が、そこの人々と共に田植えをしながら歌われたものだと聞いています。
 田植えをする前の準備にどれほど手間がかかるのか、田起こしや肥料まき、水路の管理や畔の補強、水溜、代掻き、育苗
・・・機械化が進んでいたり、機械組合や営農集団ができて、昔に比べたら少しは楽になったと言っても、八十八ぐらいの手間で収まるようなものではありません。
 










 まして、親鸞様の時代は、そのほとんどが、手作業でした。
その大変さを、阿弥陀如来の誓願成就になぞらえて、ご教化されたのが「念仏田植え唄」として受け継がれてきたのです。

 五劫思惟(ごこうしゆい)という言葉の出典は、仏説無量寿経です。阿弥陀如来の前身である法蔵菩薩が衆生を救う方法を考えられた時間が、五劫というとてつもない長い時間でした。
 「寿限無」という落語があります。健康で長生きできるようにという親の願いを込めた名前をお寺の和尚さんにつけてもらったものが、
「寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末、雲来松、風来松、喰う寝る所に住む所、破ら小路のぶら小路、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長介」という名前です。

 その落語に出てくる、五劫の擦り切れというのは、三年に一度、天から降りてくる天女が羽衣の裾で十里(40q)四方の石を撫でて、その石が擦り切れてなくなってしまう時間を一劫として、その石が五個擦り切れるほどの長い長い時間、思惟されたのでした。(大学時代の先輩、直方光福寺の大友宗文さんは、経典には「思惟という言葉はあるが、考えるという言葉はないと以前、教えてくださいました。)
 それくらい思惟せずには救われないほど、私の煩悩は、深かったのです。その煩悩具足をそのまま救うと誓ってくださった阿弥陀様の誓願を、そのままいただき(帰命)、途切れなく水が流れるように、称名念仏を相続していく、そして、往生の秋を迎えるとき、米が収穫できる喜びと浄土往生ができる悦びを味わうこととなるのです。
 そんな意味を込めて、親鸞様は、この念仏田植え唄を残してくださり、お念仏よろこぶ行者によって七〇〇年の間、歌い継がれてきたのです。

  7月行事予定・住職動静

10日〜15日 お盆参り.(ご希望の日程があれば、ご連絡ください。)
 ●13 盆経(初盆、上本、舞原団地、有田方面)
●14日 盆経(原明、下本、楠木原、大山
15日 盆経(黒川、北川内蔵宿、上内野、その他)
 
*今年の盆経日程は、少々変則気味です。
  *7月のむりょうじゅ会、原明お講は、お休みです。
 

 ●20日 有田町広瀬サロン説法ライブ
 13時30分〜
 ●19日 伊万里栄町歌う会
 13時30分〜
 ●23日 有田町上本サロン説法ライブ 13:30〜
 ●26日 伊万里栄町歌う会 13:30〜 

仏教的に食を味わうM 酢のもの

 夏の食べ物の定番は、酢のものです。暑くなってくると、食欲がなくなり、夏バテする人が増えてきます。夏バテを防ぐ方法として、人類は、酢の物を食べてきました。
 酢の効能は、色々ありますが、さっぱりした酸味が、味覚や嗅覚を刺激して、唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させてくれるのです。また、酢の主な成分である酢酸は、血中脂質を低下させる働きがあります。また、がん抑制効果や高血圧低下効果があることも知られており、どんなサプリもかなわない万能健康食品です。
 なます、酢大豆、キュウリもみ、ワカメ和えなど、色々料理で、夏の暑さを乗り切りましょう。
念仏田植え唄
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2018,7 桃谷法信