光寿無量
大いなる光といのちの中で、新しい年を迎えられ、健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
新しい年を迎えて、心機一転、今年こそはこんなことをやってみようという、一年の計は元旦にありと昔の人々は、けじめをつけて、出発していたようです。初荷、初売り、お雑煮、お年玉、新年のご挨拶、おせち料理、年賀状、初詣・・・
ところが最近は、元旦から初売りを始めたり、店を開けたり、お正月の雰囲気を楽しめないサービス業の方々もたくさんおられます。初めと終わりのない、けじめのつかない世相になってきたと思うのは、僕だけでしょうか。
始めが肝心(肝腎)です。その出発点が、すべての本になるからです。音を例にして述べてみようと思います。
音の基本は、ハ長調のラの音です。A=440Hzとほとんどの楽器に記されています。西洋音楽の音階は、短調は、ラシドレミファソ、とラの音が基本です。日本の音名でいえば「い」です。「いろはにほへと」という音階です。
では、なぜ、西洋では「A」、日本では{い」なのでしょうか。
それは、母親の胎内音と深く関係しています。母親の子宮の中で、十月十日、母親の心音「ラ」を聞き続けているのです。ですから、「オギャー」というこの世での発声の第一番の音が、「ラ}の音になるのです。むずがっている赤ちゃんが母親の胸に抱かれると、懐かしい安心できる「ラ」の音を身近に感じることができるので、すやすや眠ることができるのです。
ある保育園で、面白い実験をしていたのをTVで見ました。
プレイルームで自由に遊んでいた子どもたちは、一斉に、テレビの方を向きました。財津一郎さんがしゃべっていました。財津さんの声のトーンは、低音ながらも少し甲高く、音階は、「ラ」の音でした。子どもが振り向くはずです。
ほかに、ジャパネット高田の高田社長もあの甲高い音は、「ラ」なのです。人を引き付けるしゃべり方は、「ラ」に近い音から始めると体に響いて、影響力があるのだそうで、財津さんや高田さんだけでなく、政治家やアナウンサーなどもそのことを利用している人がいっぱいいます。
雅楽の音取り(ねとり)お経の出音(しゅっとん)は、何故か、「レ」や「ミ」が多いのは、不思議ですが、これは、「ラ」の属音や下属音に当たるので、安定させようとする心理をくすぐるための初めの音ではないかと考えられます。
また、ヨナ抜きと呼ばれるドレミファソラシドの4番目の音(ファ)と7番目の音(シ)を抜いた音階・・・声明の音階である五音(ごいん)は宮商角徴羽(レミソラシ)から構成されています。
このように考えると、お経にしても、安定させる「ラ」の音を意識して、初重、二重、三重と音階が上がるように声明などの譜も書かれているのかなあと思います。演歌がAmの曲が多いもの頷けます。安心できる「ラ}の音で曲が終わるからです。
ちなみに、言葉がうまく出ないことを「ろれつが回らない」と言いますが、ろれつは漢字で「呂律」と書きます。中国から伝わった雅楽の音階で、「りょりつ」で、音の調子を表わすものです。「呂旋」には、
●壱越(いちこつ:レミファ#ソラシドレ)、
●双調(そうぢょう:ソラシドレミファソ)
●太食(たいじき:ミファ#ソ#ラシド#レミ)があり、
「律旋」には、
●平調(ひょうぢょう:ミファ#ソラシドレミ)
●黄鐘(おうしき:ラシドレミファ#ソラ)
●盤渉(ばんしき:シド#レミファ#ソラシ)があり、
呂の旋律と律の旋律が全く合わないことから、ろれつが回らないというのです。
今年は、ろれつが回るように、ラの音を基本にして頑張ろうと思います。
参考までに五音は宮(きゅう)・商(しょう)・角(かく)・徴(ち)・羽(う)の五音階で、西洋音階に直すと、レ、ミ、ソ、ラ、シとなります。親鸞さまは、阿弥陀様のはたらきを、風と音に譬え、この宮商を読み込んで和讃されています。
「清風、宝樹をふくときは、五つの音声いだしつつ
宮商和して自然なり、清浄薫を礼すべし」
仏像のまね㉒ 和顔愛語(わげんあいご)
12月の原明のお講の時 百武豊さんの仏壇の後ろから、陶器の観音菩薩が出てこられたので、どうしようと相談がありました。阿弥陀如来の脇侍である観音様は、慈悲の様相をして、優しい半眼のまなざしです。仏説無量寿経の「和顔愛語」そのままのお姿です。その観音様を見ながら、2017年の目標にしようと思いました。和かな顔だけでなく、言葉にも慈しみを持とうと思いました。無財の七施の和顔施と言辞施の実行です。
●12月の行事
1日 元旦修正会(大みそかから引き続き、勤めます。) ・年越しお正信偈、法話。恒例の福引もあります。 4日 総代世話人会 夕方5時ぐらいからです。 世話人さんは、まず本堂へどうぞ。 8日 お磨き、お華束盛り 新年会 多数ご参集ください。 昨年は、イレブンTVの取材がありました。 10~13日 御正忌報恩講(朝6:00~ 夜7:30~) 朝は、正信偈草譜六首引きの後御伝鈔拝読 夜は、正信偈行譜六首引きの後、法話です。 12日は 子ども報恩講です。音楽法要(宗祖讃仰音楽法要) そして、雅楽の演奏を致します。 *この御正忌報恩講は、宗祖親鸞聖人の遺徳を偲び お勤めする浄土真宗の一番大切な法要です。 京都の本山(西本願寺)では、9日から15日まで勤めら れています。時間のある方は、ぜひ御参詣ください。 餓鬼の様相を呈する世相の中、ご家庭でもお精進を してみませんか。昔は、御正忌はどの家庭でも、お精 進で、魚屋さんも肉屋さんもお休みでした。 14日 原明お講(浦川優子さん宅) 14日~15日 諫早市高木町高宗寺 御正忌へ出講 ●お華束の色餅を遠方の方には、郵送していましたが、 諸般の事情で、今年から郵送できません。あしからず ご了承ください。 |
始めの音
2017.1 桃谷法信