昭和57年8月、西有田町郷土史研究会(当時の会長:吉永直さん)が発行された「うしなわれゆくにしありたの方言」という冊子があります。
今、若者言葉が氾濫して、言葉が成長(?)して、ずいぶん昔と代わってきたように感じます。言葉は生きているなあと思いますが、テレビの影響で、全国一律の言葉や平均的な標準語になってしまったら、なんだか味気なくなってしまうような気がします。方言で使われる言葉の中には、とても優雅で、残しておきたい古語、例えば、「徒然(とぜん)なか」や「きゃしゃ(花車、華奢)か」など、たくさんあります。
 また、雰囲気やニュアンスが標準語では言い表せない言葉もたくさんあります。「あったひやかー(暑い、寒い)」(照れくさい)、「よかんびゃー(良い按配)」などです。 
 上記冊子の他、舞原団地の作萌窯(杉原森人さん)のホームページの「有田西有田の方言」、近所のおんちゃん、おばっちゃんたちの言葉を参考にして、まとめてみました。 
 間違いや足りない言葉は、ぜひ、お教えいただきたいと思います。



1字方言   あ  い  う、え  お、か  き、く、け
 こ、さ   し す、せ、そ  た、ち  つ、て   と
な、に、ぬ  ね、の  は   ひ  ふ、へ  ほ、ま
みむめも  や、ゆ よ、ら行わ行 二重母音発音
方言について
(昭和24年発行、佐賀師範学校郷土研究会発行「私たちの郷土」130ページより引用)

 日本の方言を二つに分けて関東方言と関西方言とする。関西方言を更に本州方言、九州方言に分ける。九州地方は、更に、豊日・肥築・薩隅の3方言に分け、佐賀の方言は、肥築方言の中に含まれる。
 佐賀の方言も徳川時代の小藩分立によって地方に多少の相違がある。ことに、唐津においては、藩主小笠原氏が、奥州棚倉から移封せられたので、町人町では九州方言、城内の士族町では東国系統の方言が行われている。今、これら方言のうち、だいたい県下共通のものを選んで各品詞ごとに分けてみる。
 
名詞 古語系統・・虚言(スラゴト)、熾火(オキ)、御器(ゴキ)、蛇(クチナハ)、昨夜(ヨサリ)
    外来語系統・・腰掛(バンコ)、袖無し(ポイシン)、恋人(シヤンス)、かぼちゃ(ボーブラ)  丸菓子(マルボーロ)
    漢語(音読)・・野孤(ヤコ)、頭(ツー)
代名詞 第一人称・・オイ、オドモ、ワガ、
      第二人称・・ワイ、オト
      第三人称・・アイ、アンヒト
形容詞 語尾が「か」となる。
     綺麗か、立派か 徒然なか、・・・あらまられ易い使い方・・熱いを       ヌクカ、寒いをヒヤカ
動詞 壊す(クヤス、クエル)、落とす(アヤス、アユル)、抱く(ウダク)
    ・・・あらまられ易い使い方・・探した(ミツケタ)、持って行く(モッテ    ハシル)、行く(クル)
助動詞 バンタは、肯定で、目下に対してはバンとなる。
      カンタは、疑問で、目下に対してはカンとなる。
    バイは、強示で、「ぞよ」の意味である。ボーをつけるところもある。
    タイは、断定で、タンは、想定である。強く断定する時は、クサン、クサイ
助詞 ソイギー、ソイナイバ、ソイケン、ソイケンガ、ソイバッテン
    主格を示す場合、「が」より「の」を盛んに用いる。家の焼けとる。人の来た。
    さらに音便によって、「の」が、「ん」となる。・・・・家ん焼けとる。人ん来た。
    「を」の代わりに「ば」を用いる。・・・酒ば飲む。水ば汲む。
    疑問の時は、「か?」から転じて、カイ、カン、キャー、コウ。唐津地方は、ケー
    何をするか(ナンスッキャー、ナンスッカー、ナンスッコー、ナンスッカン、ナンスッケー)

副詞 数量的に多い場合は、ヨンニュー・ユンニュー、少ない場合、チーット、チカット、オロ
    オロ善カは、不善の意

接頭語 イチ食うた、ツン燃えた、チー走った、ヒン曲がった、キャーくるわれた、オッ取られた
      ウー捨つっ、チン逃げた、キャークイ交ぜた


西有田の方言
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